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AIが変えること 医療現場【AIとテクノロジーの話】

Text:三宅陽一郎

個人データを解析してベスト医療を提供

「AIが特殊な白血病患者の命を救った」というニュースが驚きを持って迎えられたのは、2016年8月のことでした。東京大学医科学研究所は、IBMのAIワトソンに2000万本以上の論文と、1500万件以上の薬剤関連の情報を学習させました。そして、ある女性が極めて稀まれな白血病を患っていることをわずか10分で見抜き、医師が治療薬を変更したことでこの女性患者は症状が改善、退院するまで回復したのです。

患者の症状から病名を判断し、適切な治療法の判断を下すには過去の症例、遺伝情報、医学論文といった膨大な医療情報を参考にしなければなりません。さらには、新しい情報や治療技術、新しい薬剤も日々追加されていきます。そのため、医師がすべての情報に目を通して対応することは、事実上不可能といっても過言ではありません。

実はこうしたビッグデータの蓄積と解析は、AIが得意とするところです。東京大学医科学研究所ではワトソンを用いて病気の発症に関わる遺伝子や治療薬の候補を患者の遺伝情報から示させる臨床研究を行っています。通常、人間だと二週間かかる分析を、ワトソンはわずか10分でこなせます。

ただし、AIができるのはあくまでも治療薬の候補とその可能性を確率で示すことです。AIが提示したものに対して、どの治療薬を使い、どんな治療法を用いるかといった最終判断は、医師の手に委ゆだねられています。

このように、AIが多忙を極める医師を支えていくことで、より精密で迅速な診断が可能になることが期待されています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 AIとテクノロジーの話』
監修:三宅陽一郎  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
ゲームAI開発者。京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理 事、人工知能学会編集委員 。


進化し続けるAI(人工知能)とテクノロジーにより「シンギュラリティ」は刻々と近づいている。ビッグデータ、IoT、ディープラーニングをはじめ注目の仮想通貨・ブロックチェーン・MRなど、知らないではすまされない最先端の技術革新と私たちの近い未来の「変わる生活」をについて、科学オンチにも身近で大切な話題を中心テーマにわかりやすく図解した一冊!

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