酸素や栄養分を運び、老廃物を回収する
血液とは、体の中を網の目のように巡る血管の中を循環し、生命の維持に関する大切な働きをします。
体内を循環する血液の量は、個人差はありますがおよそ体重の13分の1とされていて、「細胞成分(血球)」である「赤血球・白血球・血小板」と、「液体成分」である「血漿」から成り立っています。
赤血球は細胞成分の多くを占め、ヘモグロビンと結合して酸素や栄養分を体の末端まで運び、二酸化炭素や老廃物を回収し運び出します。
ちなみに体の中に張り巡らされた血管の長さは、総延長10万キロ、地球を2周半もする長さがあるとされています。
そのほとんどは直径が100分の1mm程度で、赤血球がやっと通れるほどの太さしかない毛細血管です。
白血球は外部から侵入した細菌やウイルスを攻撃し、感染も防御します。また、血小板は出血を抑える作用をします。
血漿は血液の成分の約55%を占め、ほとんどが水分ですが、凝固因子と呼ばれるタンパクを含み血小板と一緒に血栓をつくり、傷口をふさぐ血液凝固の役目をします。
また、私たちの体の約3分の2(体重の60~65%)は水でできています。体内にある水分を「体液」といい、体液の約3分の1が細胞外(細胞外液)にあり、その一部が前述の血漿内にあります。
この水分を体のすみずみまでいきわたらせるのも、血液の大事な働きのひとつです。血液が水分を失い、ドロドロになると、脳梗塞や心筋梗塞になる可能性がありますので、的確に水分を補充することが健康な体づくりのポイントなのです。
血管内成分と役目
赤血球
細胞成分の大部分を占める。酸素を運搬する。
血小板
出血を抑える。
血漿
血液凝固、水分によって老廃物を運搬。
白血球
ウイルスなどの細菌を攻撃、感染を防ぐ。
血液がドロドロになると脳梗塞や心筋梗塞になるから注意しよう!
シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。
図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!
気になる中身を少しだけご紹介!消化管のおもな病気と症状とは?
放っておくとがんになる炎症とポリープ
消化管とは、口腔から始まり食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までの食物の通路のことをいいます。食道から胃までを上部消化管といい、食道にみられる病気で、近年増えているのが食道の粘膜が炎症をおこした「食道炎」です。その症状は、胸部の痛み、下障害(飲み込みにくい)、胸やけ、 香酸、などがあります。食道炎の中で多いのが「逆流性食道炎」で、これまでは高齢者に多くみられましたが、最近では若い人にも増えてきました。放置すると潰瘍に進行し、食道がんのリスクも高くなります。便秘が原因のひとつとされており、食生活にも注意が必要です。肝硬変患者の3大死因のひとつとなっているのが「食道静脈瘤」です(そのほかは肝がん、肝不全)。食道粘膜の下層にある静脈が太くなり瘤のようになった状態です。これは「門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)」が原因となって発症します。「門脈」とは、腸で吸収された栄養素を肝臓に送り込む血管のことで、門脈を通して取り込んだ栄養は肝臓で処理されて全身に運ばれます。
しかし、肝硬変になると血液が流れにくくなり、それまで門脈を流れていた血液は、本来のルートからはずれて食道の血管を流れるようになります。食道への血流が多くなる結果、血管が船のようにふくれあがって食道静脈瘤になります。手当が遅れると瘤が破れ大出血してショック死をすることもある怖い病気です。胃の粘膜の炎症でおきる「胃炎」は、急性胃炎と慢性胃炎に分けられ、急性胃炎は喫煙、暴飲暴食、アルコール飲酒、ストレスが原因のものと、感染性(ブドウ球菌、アニサキス)があります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、や加齢などの複数の因子が絡み合っているとされます。胃の粘膜にポリープができる「胃ポリープ」には、放置しても問題のない「胃底腺ポリープ」、比較的ピロリ菌が下人でなることが多い「過形成性ポリープ」、正常組織よりがんを発症しやすい前がん病変と考えられている「胃腺腫ポリープ」などがあります。
消化官のおもな病気
口腔
歯周病・口の中の腫瘍・嚥下障害など
食道
食道炎・食道静脈瘤など
胃
胃炎・胃ポリープなど
十二指腸
十二指腸潰瘍・十二指腸炎
小腸
クローン病・小腸腫瘍など
大腸
大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎など
肛門
痔核疾患・痔ろう
★生命の設計図といわれるDNA
★細胞には2通りの死に方がある!?
★貧血はどうして起きるの?
★がんって本当に遺伝するの?
などなど気になるタイトルが目白押し!
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢
病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊。細胞、血液、がんーー生命の不思議と病気の原因を、面白くわかりやすく探る!
公開日:2023.08.18