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「無」のオンパレードが示すものとは 【般若心経】

Text:宮坂宥洪

是故空中 無色(ぜこくぢゅう むしき)

漢訳では省略されていますが、ここで3回目の舎利子への呼びかけがあります。つまり、ここからが舎利子に伝授される第3のパートというわけです。

その冒頭では、「空のなかには色はない」と述べています。「色」は「自分の体や物質的なものすべて」という意味でした。

普通に読めば、「スペース(からっぽ)のなかには何もものがない」となり、当然すぎて意味がないようにも思えます。「空のなかには」とはどういう意味なのでしょうか。

「ない」ものを一つずつあげていく手法

〈私〉を象徴する建物のなかで、観自在菩薩は、自分やものの枠組みを取り払って観ることができる4階の世界にいます。「空のなかでは」は、観自在菩薩がいる「その4階でのヴィジョンでは」という意味ととらえることができるでしょう。

つまり、最初のパートで述べた「色即是空」、2番目のパート述べた「諸法空相」を、さらに突き詰めて語ろうとしていることがわかります。

どう突き詰めるのか。それは、そこに「ない」ものを一つ一つあげていくという手法によります。そのため、ここ以降には「無」という文字が続きます。

わずか262文字の般若心経に、「無」は21個もあり、そのほとんどが、このパートで「ないもの」をリストアップしていくことに使われています。

その最初が「色(物質的なものすべて)」です。ほかには「何がないのか」、見ていくことにしましょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。

今、人気の空海(真言宗)をはじめ、最澄の天台宗、臨済宗、曹洞宗で読まれている「般若心経」。写経を中心に長く人気を博している般若心経だが、まだまだ「難しい」「よくわからない」といったイメージを持たれることも多い。今回は、現代語訳をしっかりと解説しつつも、私たちの実生活と結びつけながら、その思想や意図するところをわかりやすく解き明かしていく。

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