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ずば抜けたスタミナで獲物を追い続ける【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

ブチハイエナ

ハイエナというと、死肉を漁ったり、他の動物から獲物を横取りしたりする、野蛮で狡猾なイメージがありますが、それはカッショクハイエナやシマハイエナで、ブチハイエナは、獲物の6割以上を自分たちで捕らえる優秀なハンターです。ハイエナ科の中で最も体が大きいブチハイエナのハンターとしての第一の資質は、時速65㎞を超える俊足です。また、5㎞以上も獲物を追い続けるタフな体力もあります。ブチハイエナは、10~15頭の「クラン」と呼ばれる血縁が集まって巣穴で共同生活をしています。体はメスのほうが大きく攻撃力も高いため、クランでの地位もメスのほうが高く、リーダーを務めるのはほとんどがメス。次期リーダーもリーダーのメスの子どもが受け継ぐことが多く、女性上位の女系家族と言えます。

狩りもクランで行います。狙うのはガゼルやヌー、シマウマなど。獲物の群れを集団でつきまとい、弱っていたり、ケガをしたりしている1頭を見つけ出して襲います。時には群れの中に乱入して、逃げ惑う獲物の中から狙いやすいターゲットを見つけるという高等戦術を使うこともあります。獲物を捕らえるとクランの仲間全員でむさぼるように食べます。食欲も旺盛で、1頭の大きなヌーを1晩で食べ尽くすこともあるほど。ブチハイエナは強靭なアゴを持ち、直径8㎝もあるキリンの骨をも噛み砕く力があります。骨ごとバリバリ噛み砕いて食べ尽くすか、食べ残した骨を巣穴の周辺に持ち帰り、獲物がとれないときにこれらの骨で飢えをしのぎます。ライオンの獲物を横取りすることもありますが、逆にライオンに取られることもあります。ブチハイエナは私たちが持つイメージとは違う一面を持っているのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。

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