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獲物をわしづかみして鋭い爪を突き刺す【ハンター生物の話】

Text:今泉忠明

イヌワシ

「大空の支配者」との呼び声が高いワシの中で、森林の生態ピラミッドの頂点に立つと言われているのがイヌワシです。体全体が黒褐色で、大人になると後頭部から背面にかけて金褐色の羽毛が生えてくるのが特徴。尾には3本の帯があります。

イヌワシの特技は、何と言っても飛翔力。広げると2mにもなる翼の持ち主で、荒れ狂う風の中でも巧みに飛ぶことができます。尾羽で速度と方向を微妙に調節しながら、自由自在に飛ぶため「風の精」と呼ばれることも。

普段は人里離れた森林や岩場にすんでいますが、お腹が空くと草原や崖地など開けた場所に移動して狩りをします。狩りをするときのイヌワシはとてもダイナミック。1500m先にいる獲物も見つけられるという目を武器に、空を悠然と飛びながらノウサギやリス、キジ、ヘビなどの獲物を探します。

獲物を発見すると、翼をたたんで瞬時に急降下。獲物に逃げるひまを与えず、鋭いカギ爪のついた脚で力強くつかんで捕らえます。その力はとても強く、ノウサギが一瞬で握り殺されてしまうほどだそう。「わしづかみ」の語源は、ワシが獲物をつかむ動作だと言われています。

イヌワシは、つがいで縄張りを持っていて、1年を通してその中で生活するようになります。つがいで狩りをするときは狩りの戦術を変更。1羽が前方から近づいて獲物の注意を引き、もう1羽が背後から襲いかかるのです。狩りに成功すると、爪で獲物の感触を確かめながら加速し、崖の上などに移動。獲物を引き裂くためにカギ状に曲がり先端が尖ったくちばしと、強力な脚で器用に獲物を引きちぎり食事にとりかかります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。

図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
単に子ども向けの図鑑ではなく、イラストと文章できちんと動物の生態を解説。
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを紹介します。

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