アオアシカツオドリ
名前の通り、きれいな青い足を持つアオアシカツオドリ。求愛をするときは、オスが青い足を交互に上下しながら見せつけるようにメスの周りを歩き回ります。主な生息地は海や海岸の崖で、主に青魚を獲物としています。アオアシカツオドリの足が青いのは、青魚に含まれるカロテノイドという天然色素によるもの。つまり、青魚をたくさん食べているオスほど足の色が青くなり、オスにとっては青い足をアピールすることは捕食能力が高いことを示しているというわけです。
集団繁殖するアオアシカツオドリは、狩りも集団で行う性質があります。海から10~30m上空を数百匹もの集団で飛びながら獲物を探し、魚群を見つけると1羽が鳴き声を上げてダイビング。すると、一羽、また一羽と群れの全員が矢のように海に飛び込んでいきます。そのスピードは時速約100㎞前後。突然空から襲いかかってきた敵に魚が驚いて混乱しているところを狙い、追い回しながら捕獲するのです。
水中に飛び込む瞬間には、翼を後方に折りたたんで細長い形になります。これは他の鳥にはできない技で、翼の関節が柔らかく、折りたたむための筋肉が発達しているアオアシカツオドリだからできること。この体形をとることで、水深10~20mまでもぐることができるといいます。
しかし、超高速で海に飛び込むため、翼を折りたたんでいても水面にぶつかった衝撃で骨折してしまうこともあります。そうした事故を防ぐために、海中に飛び込んだ後はまず横に向かって浮上し、水平方向に飛んでから上昇するというルールがあります。とはいえ狩りの方法が危険であることに変わりはありません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。著書も多数。
図解シリーズで解説するハンター生物の話‼
ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空・川のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。
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公開日:2022.02.26