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古代ギリシャで哲学者が化学を考えたってホント?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

philosophyの語源は「知恵(ソフィー)を愛する(フィロ)」との意味

「philosophy」は日本で「哲学」と訳されています。訳したのは明治時代の西周 (1829~1897年)です。哲学、といわれると何かとっつきにくい感じがするかもしれません。語源は「知恵(ソフィー)を愛する(フィロ)」との意味ですが、文芸評論家の江藤淳(1932~1999年)は、「考える喜び」としました。このように砕けて訳されると、身近に感じます。そんな身近な、考えることを楽しむ人々が古代ギリシャに現れました。まず、記録に残る最古の自然哲学者タレス(紀元前624?~546年?)が口火を切ります。彼は「万物の根源は水」と考え、また「半円に内接する角は直角」(タレスの定理)と最初に定義もした。彼は数学者でもあったわけです。

タレスの「万物は水」は、万物の元は何かについて哲学者たちの議論を活発にしました。たとえば、アナクシメネス(紀元前585~525年)は「万物は空気&プネウマ(気息)」だと唱え、ヘラクレイトス(紀元前540?~480年?)は「万物流転している」と主張し、エンペドクレス(紀元前490?~430年?)は「万物の元は火、水、土、空気」とした「四元素説」の提唱という沸騰ぶりです。デモクリトス(紀元前460~370年)も重要です。彼は「原子論」を大成します。「万物は壊れることのない無数の粒からなっていて、それ以上小さな粒にすることはできない」とし、「壊れないもの」を意味するギリシャ語から「原子(アトム)」と名付けました。原子が動き回るには「無限の空間(空虚)」が必要だとも述べています。無限の空間とは「真空」のことです。

やがて「万学の祖」と崇められたアリストテレス(紀元前384~322年)が登場します。彼は学問体系を「自然学」「形而上学」「政治学」「倫理学」「詩学」に分類し、自然学でのフィールドでは、物理学・天文学・気象学・動物学・植物学と多岐にわたっています。彼は、人間の本性とはギリシャ語で「フィロソフィア」だといいました。「知を愛する」との意味です。これが西欧での哲学の語源となったのです。アリストテレスは、「原子論」を否定し、エンペドクレスの「四元素説」をベースに考えました。万物の元の材料は姿形のない第一物体であり、それらが合わさったさまざまな物質が第二物質となる。その特性は、温と冷、乾と湿の対立性質の組み合わせであって、そこに火・水・空気・土の四元素が混ざり合って現実世界が現れると考えたのです。難解ですが、ここには物質の反応があって、「化学」への道が用意されているようです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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