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化学の進展は半導体や電池にシリコンを利用し始めたことがきっかけ?!【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

地球上で酸素の次に多い元素がシリコン

化学の進化はとどまることを知りません。化学は化学工業のほかに電気化学、物理化学 分析化学と守備範囲を広げていきます。この頃では、半導体と電池に使われるシリコン(図1)について見てみましょう。半導体は、一般にシリコン(ほかにゲルマニウムなど)が材料として使われ、集積回路(IC)(図2)を使っている電子機器すべてに装置されています。シリコンは非金属元素の1つで、天然には単体で存在しない物質です。紛らわしいのは、「シリコン」と「シリコーン」があること。シリコンはケイ素ですが、シリコーンはケイ素樹脂のことで、ケイ素を含む有機化合物半導体に使われるのはシリコンのほうです。

シリコンは地球上では酸素に次いで多い元素ですが、酸素やアルミニウム、マグネシウムと結合しているため、精錬して抽出しなければなりません。中でも集積回路(IC)などの半導体に利用するときは、99.999999999%(イレブン・ナイン)の超高純度の単結晶が求められます。困ったことは精錬に膨大な電力が必要なこと。そのため日本では、電力費が比較的割安な国々で精錬さ純度98%以上の金属シリコン(インゴット)輸入しているそうです。シリコンはまた、充電可能なリチウムイオン二次電池に組み合わせて性能アップする研究が進んでいます。1990年代に発売されたリチウムイオン電池の構造は、リチウム金属酸化物のプラス極、グラファイトなどの炭素材のマイナス極、セパレータ(隔膜)、電解液によりますが、セパレータの破損などで可燃性の電解液が爆発を引き起こす危険性がありました。電気自動車やスマートフォンの発熱事故は、これが原因だったといいます。ですが、シリコンのナノ粒子をいまの炭素素材の代わりにマイナス極に使えば、ナノ粒子は個体の電解質であり、そうした危険性が減少します。そのうえ大容量化や蓄電池の寿命が20%伸びるといいます。まだまだ解決のむずかしい問題があるようですが、仮にそれが解決したなら、電気自動車の走行距離やスマートフォンの長時間使用など、多くの電池を利用する電子機器の性能アップが現実味を帯びてくるかもしれません。

シリコン(ケイ素)を含むチャート(岩石)

チャートの写真は堆積岩の一種で非常に硬い。主成分は二酸化ケイ素(石英)だが、動物の殻や骨片が海底に蓄積して生成される。地球では酸素の次に多い元素で、多くは土壌や岩石に含まれる。また、天然水や樹木などの植物にも含有するありふれた元素という。

シリコン(ケイ素)を含むチャート(岩石)『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

集積回路(IC)の構造

集積回路(IC)は1つのシリコン半導体基板の上に、トランジスタ、抵抗(電気抵抗)、コンデンサ、ダイオードなどの機能を持つ多くの素子を連結し、複雑な処理や大量のデータを記憶する電子部品。1cm内外の四角い小片のためICチップと呼ばれる。

集積回路(IC)の構造『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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