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鉛筆はどうして文字が書けるの?文字が書ける仕組みとは!?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

日本の筆記具は中国伝来の筆と墨

何気なく使っている鉛筆ですが、フト「鉛筆が文字を書けるって、どうしてかな?」などと疑問に思ったことがありませんか。答えは至極簡単で、「紙に当てたところの芯が少しずつ砕け、砕けた芯に含まれている黒鉛が紙の繊維にくっつくから」となります。これでは拍子抜けするでしょうから、もう少し詳しく続きを。鉛筆の芯が何でできているかといと黒鉛と粘土です。黒鉛といっても鉛ではないですよ。炭素です。この黒鉛、層状に積み重なっているので芯を紙に当てると紙の凸凹に引っ掛かり、黒鉛の層が剥がれて文字が書けるわけです(図1)。プラスチックやガラスのように凸凹がなければ文字は書けません。鉛筆は1560年代、イギリスのボローデール鉱山で良質の黒鉛が発見されたことが誕生のきっかけです。歴史は「黒鉛を細かく切ったり、握り部分をヒモで巻いたりして文字を書く道具にした。黒鉛が掘り尽くされると、黒鉛の粉末に硫黄を混ぜて溶かし、それを練り固めて棒状にし、筆記具とした。その後の1795年、硫黄の代わりに粘度を使い、焼き固めて芯をつくるようになった」との逸話を語っています。

日本の筆記具は、中国伝来の筆と墨。墨は煤(すす)とゼラチンを練り固めたものです。煤は黒鉛に近く、炭素の微粒子の集まりです。墨文字が濃淡を持つのは、この炭素の微粒子によるわけです。驚くのは、手軽で便利だったせいなのか、徳川家康や伊達政宗が鉛筆を使っていたこと。しかも、家康が使った日本最古の鉛筆が、久能山東照宮博物館に収蔵されている。芯はメキシコ産黒鉛、軸木は赤樫だそうです(図2)。ところで、鉛筆にはH・B・Fなど、芯の「硬さ」と「濃さ」を示す記号が印刷されています。Hはhardの頭文字で、BはBlack、FはFirm(引き締まったの意味)です。Hは硬さの尺度で、B柔らかさの尺度、その中間がFというわけです。また、鉛筆に使われる木材は、インセンスシダー(ヒノキ科)で、計画的に伐採、植林が行われているといいます。鉛筆は、幼いころから大人まで、なくてはならない筆記具。書いては消し、書いては消し、と人生の友ですね。

鉛筆が文字を書ける仕組み

紙の表面は植物繊維が折り重なっている。その繊維の隙間に黒鉛の粉が入り込み、文字がかける。

鉛筆が文字を書けるしくみ『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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