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セロハンテープはどうしてモノをくっつけるの?セロハンテープの開発はとても大変だった!?【図解 化学の話】

Text:野村 義宏 澄田 夢久

今は当たり前のセロハンテープは開発が相当大変だった!?

セロハンテープ(セロテープは商品名)がくっつく。当然過ぎて誰も疑問を持ちません。ですが、その成り立ちはどうだったのでしょう。セロハンテープは、セロハンに塗られた粘着剤(図1)が凹凸のある紙の表面に接することでくっつきます。粘着剤は半固形で粘性を持った物質でできています。そのセロハンとは、再生繊維素セルロースを有する木材パルプを原料とした透明な膜状のフィルムで、1908年にスイスの化学者ジャック・ブランデンベルガー(1872~1954年)が発明しました。はじめて人類が手にした透明フィルムですね。ただし、このセロハンを粘着テープに仕上げたのは、アメリカ3M社のリチャード・G・ドルー。1930年のことだそうです。実は、セロハンテープの開発はなかなか難儀なものでした。求められていたのは、セロハンで包んだ商品を、見栄えをよくするために同じ透明のセロハンで止めたい、ということです。そのためにはセロハンテープをつくり、テープのウラ面には粘着剤がしっかり付着し、テープのオモテ面は剥がれやすく、かつ粘着剤がつきにくいものでなければならなかったのです。

ところが、当時「テープに粘着剤をくっつけてロール状に巻いたら、剥がしたときにその粘着剤が下のテープにくっつくだけで、何にもならない。だから、そんなテープをつくるなんて無理だ」と思われていました。そんな常識を覆したのがドルー。彼はセロハンに粘着剤を塗ってもう1枚のセロハンにくっつけ、 粘着剤を塗ったセロハンを引っ張ってみた。すると、粘着剤は下のテープにつかず、粘着剤は塗ったテープに付着したまま剥がれたのです。まさに「常識(思い込み)の嘘」が証明された瞬間というわけですね。ですが、これで問題がすべて解決したわけではありません。粘着剤をセロハンでつくったテープに安定して塗りつける方法や、乾いても透明になる粘着剤を開発する必要があったからです。その問題も、下塗り剤を塗ることや天然ゴムと松脂などの天然樹脂を混ぜ合わせた粘着剤を開発したことで解決しました。以後、セロハンテープは、人々に「くっつける」作業で大いに恩恵を与えたわけです。ふだんは日常の便利グッズぐらいとしか思っていないセロハンテープかもしれませんが、当時は「百万ドルの発明」の価値があったといわれ、現在では「世界的な一大発明」と賞賛されているということです。

セロハンテープの断面図

剥離剤は粘着剤を弾き、テープを引き出しやすくする。セロハンは本文で記しているように木材パルプ原料のフィルム。セロハンと粘着剤をがっちり密着させるのが下塗り剤。粘着剤は天然ゴムを主原料とした糊。

セロハンテープの断面図『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著

宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!

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