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ドラマでよく見かける「見えない指紋」はどのように検出するの?【科学捜査】

粉末で隆線を浮き出させる「粉末法」

指紋のもととなる皮膚の分泌物は、そのほとんどが水分で、残りは塩化ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの無機成分と、乳酸、アミノ酸、尿素などの有機成分、皮脂腺から出る脂肪分などです。これらの各成分と、対する試薬との化学反応を利用するのが指紋検出法の原理です。

しかし指紋が付着する物はコップや茶碗、書類・封筒・お札などの紙製品、包丁・ナイフなどの金属製品、ビニール袋や粘着テープなどの梱包材料、着衣や死体の皮膚に至るまで多種多様です。

そのため、採取する対象物の表面に最も適した方法を選択し、できるだけ鮮明な指紋を検出する技術が要求されます。

指紋の検出方法で最も一般的なのは、映画やドラマでおなじみの「粉末法」です。化学反応を利用するのではなく、細かい粉末を付着させたハケや筆で、隆線の盛り上がりに沿って指紋をなぞる方法です。

ハケには羽毛やウサギの毛などの動物毛のものや、グラスファイバー製のもの、磁気性のものなど数十種類あり、状況に応じて使い分けます。また鉄粉を付着させた磁気ブラシを用いる方法は、あらゆる指紋の検出に有効です。

付着させる粉末は、銀白色のアルミニウムの粉末と黒色のカーボンの粉末が一般的ですが、黄色や緑色の蛍光色の粉末も用いられます。対象物の性質や表面の粗あらさ、背景の色などで使い分けます。

指紋が確認できたら、写真を撮影し、ゼラチン紙というセロハン製の接着テープ様のものに転写して黒い台紙などに貼りつけて採取完了です。

出典:『図解 科学捜査』監修/山崎昭

【書誌情報】
『図解 科学捜査』
監修:山崎昭

科学捜査は驚くほど進化している。血液や指紋・DNA鑑定、顔認証システム等の画像解析やインターネットを駆使した情報分析など、微細な証拠から犯行の立証、犯人逮捕に結びつけている。刑事ドラマや推理小説などで活躍する科学捜査の実体、その最先端の技術、方法など全貌を図解で徹底紹介!微細な証拠も大いに真実を語る、犯罪は絶対に見逃さない。