広がる顔認証システムの実用化
肉眼では見えない遺留指紋を潜在指紋ということは前述しました。さまざまな検出方法で採取するのですが、では、なぜ目に見えないはずの潜在指紋がそこにあるのがわかるのでしょうか?
それは励れい起き 光源機器「ALS」(=AlternativeLight Sources)というライトを使用することで、見えない潜在指紋がはっきりと見えてくるのです。ALSは、可視光線・赤外線・紫外線などの、特定の波長の光を照射することで、目には見えない証拠を可視化する科学捜査用のライトです。
一部の物質は、ある一定の波長の光を吸収し、違う波長で発光する性質を持っています。これを「ルミネッセンス」と呼びます。ルミネッセンスとは、物質が電磁波や熱、摩ま 擦さつなどにより、エネルギーを受け取り、その受け取ったエネルギーを特定波長の光として放出する発光現象のことです。
この光の特性を応用し、痕跡によって使い分けた波長の光を照射し、同時にゴーグルを使って邪魔な波長の光を遮断します。すると、目には見えなかったモノが見えてくるのです。
ただ、太陽光や蛍光灯のような、白色光に照らされると見えにくいために、暗くしてから作業に取りかかります。
1970年、光を科学捜査に応用し実用化に成功したのはカナダ警察でした。大きな検査設備と多大な検査費用のため、現場では使用できませんでした。
しかし、現在では小型で強力なコードレスのALSが開発され、事件現場の最前線で光学検査が実施されるようになりました。
出典:『図解 科学捜査』監修/山崎昭
【書誌情報】
『図解 科学捜査』
監修:山崎昭
科学捜査は驚くほど進化している。血液や指紋・DNA鑑定、顔認証システム等の画像解析やインターネットを駆使した情報分析など、微細な証拠から犯行の立証、犯人逮捕に結びつけている。刑事ドラマや推理小説などで活躍する科学捜査の実体、その最先端の技術、方法など全貌を図解で徹底紹介!微細な証拠も大いに真実を語る、犯罪は絶対に見逃さない。
公開日:2021.09.26
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