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エサ場に集まったカラスは声を聴き分けている?!その謎とは【カラスの話】

鼻よりも耳に自信があるんです

鳥は鼻より目と耳、という生き物です。特定の匂いに強く反応する例は見つかっていますが、イヌのように匂いに頼って生きているというわけではないようです。どれくらい小さい音が聞こえるか、という点では、鳥は人間より少し劣るくらいです。ですが、時間分解能(一瞬で音程が変わってもすべて聞き取れる)や、音階の聞き分けについては明らかに人間より優れています。超厳しいカラオケ採点マシンだと思ってください。たとえば、エサ場に集まったハシブトガラスが一声ずつ「カア」と鳴くときは要注意。この声は個体ごとに特徴があり、カラスが聞けば誰の声か判断できます。

これを実証した、慶應大学の伊澤さん、近藤さんの研究は非常に面白いものです。まず、2つのケージにハシブトガラスを1羽ずつ入れ、並べておきます。このカラスたちはお互いを知っています。そこでケージの間に仕切りを入れて見えないようにし、端っこにほんの少しだけ隙間を設け、スピーカーから全く別のカラスの声を再生します。つまり、隣にいるはずの個体とは別の声が聞こえるわけです。すると、カラスは「え?なんで?なんで?」と仕切りの隙間に顔をくっつけて、隣をのぞき込むのです。隣の個体の声が聞こえたときは、そんなことはしません。ということで、ハシブトガラスは顔を見ただけで誰かわかり、その声も記憶していた、と考えられます。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著: 松原始

「カラスはなぜ怖いのか?」がわかる本!黒い羽を虹色に輝かせ、時に人を威嚇し、悠然と街を歩く。不吉なシンボルとされる一方、賢さで知られる彼らの生態や魅力を面白く伝える1冊です。「カラスはほんとは怖くない!? 」「 読めばよむほど、好きになる!?」