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消費行動に影響を及ぼす「プライミング効果」とは!?【経済の話】

Text:神樹兵輔

行動経済学は人間の非合理行動を解明する

プライミングとは、点火薬、起爆剤、呼び水といった意味の単語です。行動経済学でマーケティングを論じる際にも登場する言葉のひとつです。

たとえば、暑い夏を連想させる写真を何枚か見た後で、急にスイカやアイスキャンデー、かき氷を食べたくなるといったことがあるでしょう。あるいは、交通事故の悲惨な映像を見た後には、車の運転が慎重になるといったこともあります。

これは、無意識のうちに先行する刺激(プライマー)の処理が、後続する刺激(ターゲット)の処理に影響を与え、促進したり、抑制するはたらきをしたことを表わしています。

人は、過去の豊富な経験を頼りに、物事を冷静に判断していると思いがちですが、実際にはこのように直前に見たものや経験したことが、すぐ後の行動に影響していることが多々あるのです。

寒い冬場になると、テレビではさかんに即席麺やカップ麺のCMが流されます。これは、スーパーやコンビニに行った時、ついそれも買っておこうかな――という気にさせるために他なりません。

人は、テレビCM、その時々の風景、雑誌やネットで読んだ記事、手触りや香りといったものに無意識のうちに動かされてしまうのです。

1931年から始められた米国コカ・コーラ社のクリスマス広告はマーケティングの見事な成功例といわれます。大きな体に真っ赤な衣装をまとい、白い口髭をたくわえた陽気で明るいサンタクロースの姿は、この広告が起源になったからです。

実はそれ以前、サンタのイメージは世界中でバラバラでした。コカ・コーラ社が生んだこのサンタクロースが美味しそうにコークを飲む姿が、世界中に広がり、コークの売上にも貢献したのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』
監修:神樹兵輔

日本の社会をとりまく環境は日々変化を続け、日本経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を見ることにもなる。行動経済学から、原価のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済の基本を、身近なテーマとともに図とイラストでわかるやすく解説、読み解く一冊。