クリーニング業界でもっとも重要視されること
個人経営で洗濯からアイロン仕上げまで行うクリーニング店は数少なくなりました。今では大手クリーニング会社の取次ぎを行うクリーニング店が主流です。個人経営では、単価の下がる業界で多工程、大量作業がこなせず、生き残れなくなったためです。
市場自体は1992年のピーク時の8170億円以降、15年には3090億円規模まで縮小しました。家庭のクリーニング代もピーク時の年間2万円から5600円程度まで減少しました。服装のカジュアル化、形状記憶シャツ、高機能洗濯機、スチームアイロンの普及などがクリーニング需要を奪いました。
クリーニング取次業はフランチャイジーです。大手クリーニング会社が、契約した取次店から洗濯物を集荷して工場でスピーディーに仕上げて取次店に戻す方式です。
クリーニング取次業はどれぐらい儲かるのでしょうか。立地を間違えるとたちまち淘汰されるという厳しい業態です。すなわち、駅近の人通りの多い場所で、通勤や買い物のついでに立ち寄れる利便性が重要なのでした。客単価が、平均1000円程度のため、1日50人の客数だと日商5万円で、月25日稼働で売上は月間125万円になります。
しかし、この売上では取次店の手数料収入が25%しかないため、実収入は31万円にしかならず、人件費や家賃といった諸経費を引くと赤字になり、とてもやっていけないのです。
1日100人の客数だと日商10万円で月間売上は250万円になり、手数料収入が62万5000円なので、これなら家賃さえ抑えられれば、諸経費を差し引いても何とかやっていけそうです。 クリーニング取次店は金券ショップ同様、客単価が低く100人以上の客数を必要としています。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』
監修:神樹兵輔
日本の社会をとりまく環境は日々変化を続け、日本経済を知ることはイコール「世界や社会の今」を見ることにもなる。行動経済学から、原価のしくみ、生活に密着した経済の疑問や問題点など、いま知っておきたい経済の基本を、身近なテーマとともに図とイラストでわかるやすく解説、読み解く一冊。
公開日:2021.04.14