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『東京駅の建築』の知られざる物語とは?明治維新政府の威信をかけた様式建築【建築の話】

近代建築トップランナー辰野金吾の東京駅の物語

2012年に復原工事が完了した東京駅丸の内駅舎。赤レンガに白い花崗岩の帯が目を引くこの東京の表玄関は、日本人初の建築家の一人である辰野金吾の設計です。

明治初期、渡欧した政府高官たちは石とレンガでつくられた町並みに驚嘆しました。すぐに工部大学校造家学科(現在の東京大学工学部建築学科)が創設され、英国人建築家ジョサイア・コンドルが招かれます。

その1期生が辰野金吾でした。卒業後、英国に留学した彼は、当時流行していたネオ・バロック様式やクイーン・アン様式を学び、明治国家の威信を示す重要な建築物にこのスタイルを採用します。

その一つが、日本における資本主義の原点というべき日本銀行本店で、ネオ・バロック様式を用いた石造建築です。

天皇陛下が利用する駅である東京駅には、さまざまな建築様式を部分的に取り入れる折衷スタイルが特徴でもあるクイーン・アン様式をさらに辰野風にアレンジした、レンガ造の様式建築を採用しました。

実は東京駅の建築当時(大正3年)には、すでに日本でも鉄筋コンクリート造の建築物がつくられています。つまり辰野は、あえてレンガ造の様式建築にしたのです。

その理由は明治政府の威光を示したい、というクライアントの要望に建築で応えるためだったといえるでしょう。それが、この時代を駆け抜けた近代建築のトップランナーたちの宿命でもあったのです。晩年の辰野金吾は後進の育成や学会などにも尽力し、近代建築の父とも呼ばれるようになっています。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

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