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日本のお城の場所は時代によって変化してきたって知ってた?【建築の話】

兵器の高度化と経済政策が城の形をかえた

お城は建てられた地形から三つに分類することができます。戦国時代の山城、そして桃山時代以降につくられた平山城と平城です。名前からわかるように、山城は急峻な山の頂き、平山城は平地に近い尾根の先端、平城は平地に築かれたお城をそれぞれ指します。

防御という点から見ると、四方を谷に囲まれた山城は天然の要塞です。平山城は三方を谷に守られていますが一方は尾根伝いでの攻防が避けられません。平城は四方すべての攻撃に備えなければなりません。では、なぜ城は条件のよい山から平地へと降りてきたのでしょうか。

その最大の理由は経済でした。戦いにはお金がかかります。多数の兵を維持する以上に大変なのは兵器です。槍、弓矢の戦いかたをかえ、鉄砲や火薬を主力とした織田信長は、多額の出費をまかなうために楽市・楽座を興しました。商工人を集めて産業を興す経済政策です。

彼らの自由で安全な商売を保障するために、城と城下町は近づける必要がありました。これが城を平山や平地に築いた動機の一つです。そして兵器の近代化は、城の形もかえます。土の山は大量の火薬で崩れますし、小さな堀切や木柵は、銃弾が簡単に飛び越えてしまうからです。

こうして、石垣と、厚い土壁、そして銃弾の飛距離を考慮した広い水堀が生まれました。この三つを備えたことで、平山や平地に城を築くことが可能になったのです。

このように、兵器の変化は城のつくり方を根本的にかえました。その両方を左右したのはお金です。封建制度といえども、経済を制した者が天下をおさめたといえます。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

身近な建物が楽しくなる。ナゾとギモンを一挙解決!屋根の形は、どうやって決まるの? 正面だけが西洋風の看板建築って、どんな構造? うだつが上がらないの、うだつって何? 日本の建築をテーマに、さまざまな建築のナゾを楽しく解き明かします。古民家から、お寺、神社、城、庭、代表的な近・現代建築まで、建築家ならではの視点で、建築物の見方、楽しみ方を図解します。理系の知識がなくても大丈夫。私たちの生活や伝統美など、暮らしの文化に根ざした日本建築のスゴさと面白さがわかります。建築士しか書けない精緻なイラストを満載。60項目で楽しむ建築エンターテインメント本です。

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