自然エネルギーには二つの考え方がある
21世紀の日本で、自然エネルギーという言葉を知らない人はほとんどいないでしょう。具体例を聞けば、風力、波力、地熱、太陽光、バイオマスと答えが返ってくるはずです。そのメリットも「持続可能性が高い」とか「二酸化炭素排出が少なく、地球温暖化対策に有効」と答えてくれます。
しかし、自然エネルギーの利用法が大きく2種類あることは、あまり知られていないのではないでしょうか。一つは建築上の工夫などで、自然エネルギーをそのまま利用する方法で、パッシブシステムと呼ばれます。南側の窓に庇をつけたり、ゴーヤーなどで緑のカーテンをつくるのは、パッシブシステムの実例です。
広い庭では、南に高木の落葉樹を植えて夏の日射を遮り、北には高木の常緑樹を植え、冬の北風を防げます。熱気のこもる屋根裏に断熱材を張り、換気口を設置するのもパッシブシステムです。冷暖房機器のない時代の知恵が応用されています。
もう一つは、自然エネルギーで得られる熱なども加工して冷暖房器や給湯器などの機械で動かす方法で、アクティブシステムと呼ばれます。特徴は機械を利用するところです。
太陽光や風力エネルギーを利用した発電、太陽熱や地中熱などの熱エネルギーでお湯をわかす給湯器、地中熱や空気熱をヒートポンプの熱源とした冷暖房機といったものがアクティブシステムに分類されます。機器を動かす際に必要な化石燃料の依存度を下げることで、二酸化炭素を抑制し、持続可能性を高めることができます。
パッシブシステムとアクティブシステム、その両方を上手く併用することが大切です。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク
【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク
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公開日:2022.01.20