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日本家屋の瓦にはどんな意味がある?そこに込められた人々の願いとは【建築の話】

瓦の歴史とメッセージ

屋根の材料にはいくつかの種類があります。かつては建物の用途や格によって、つかいわけや制限がありました。

神社の屋根には自然素材が多くつかわれています。茅で葺く茅葺き、檜の樹皮で葺く檜皮葺き、木材の薄板で葺く柿葺きなどが代表的なものです。自然信仰を原点とする神道ならではともいえるでしょう。

一方、寺院の屋根は多くが瓦葺きです。瓦は仏教が伝来したのとほぼ同じころ、瓦焼き職人と一緒に中国からやってきました。そのあと、武家などの特権階級の建物にもつかわれるようになります。一般的な民家はどうでしょうか。

高価な瓦の使用は長い間、庶民には禁じられていました。江戸時代になっても、江戸の町では民家の屋根はほとんどが板葺きだったようです。そのため、都市化が進んで住宅が密集するようになると、度重なる大火に悩まれるようになりました。飛び火を防ぐために屋根に牡蠣殻をのせる牡蠣殻葺きといった対処がされたものの、火災は起こり続けます。

こうして、ようやく庶民が瓦をつかえる時代が訪れたのです。瓦屋根では、雨の流れる水みちを通すことが大切になります。寺院や西日本の古民家などに見られる本瓦葺ぶきは、水みち用の平瓦と丸瓦を交互に並べるものです。その後、平瓦、丸瓦を一体にした桟瓦が江戸時代に登場。庶民にも普及していきます。

瓦屋根は、独自の装飾や紋様が施されることが多いのも特徴です。水を象徴したものは火災防止、その他、魔除けや吉祥願いなど、さまざまなメッセージが込められています。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク

【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク

身近な建物が楽しくなる。ナゾとギモンを一挙解決!屋根の形は、どうやって決まるの? 正面だけが西洋風の看板建築って、どんな構造? うだつが上がらないの、うだつって何? 日本の建築をテーマに、さまざまな建築のナゾを楽しく解き明かします。古民家から、お寺、神社、城、庭、代表的な近・現代建築まで、建築家ならではの視点で、建築物の見方、楽しみ方を図解します。理系の知識がなくても大丈夫。私たちの生活や伝統美など、暮らしの文化に根ざした日本建築のスゴさと面白さがわかります。建築士しか書けない精緻なイラストを満載。60項目で楽しむ建築エンターテインメント本です。

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