激しい揺れを耐えるか、免れるか、制するか
地震が起きたとき、建物はどうあるべきでしょうか。基本的には壊れることなく、生活に支障が出ないことが求められるでしょう。しかし、震災レベルの大規模な揺れに対しては、建物自体の損傷よりも、まず人命を守ることが優先されます。その代表的な対処法が、耐震工法、免震工法、制震工法の三つです。
耐震工法は、地震に建物が耐えることを目的とした工法です。筋交いや耐力壁をバランスよく配置し、強固で頑丈な建物を造ります。免震工法は、地震の揺れが建物に伝わらないよう、地盤などと切り離す工法です。基礎の上や中間階に免震装置を設置し、地盤の揺れが建物に伝わるのを免れることを目的とします。
歴史的にもっとも古くからあるのは耐震工法です。明治時代に研究が始まり、関東大震災を期に実用化が進みました。
免震工法は1970年代から開発が進められ、阪神淡路大震災後に盛んに実施されるようになった工法です。制震工法も1960年代には研究が始められており、やはり阪神淡路大震災以後、多く活用されるようになりました。
これらの工法は併用も可能です。たとえば免震装置で50センチに抑えた変動を、制震装置で20センチにまで減少させることもできます
『建築の話』はこんな人におすすめ!
・世界中の様々な建築に興味がある!
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以上の方には「図解 建築の話」は大変おすすめな本です。
「うだつが上がらない」は建築からうまれた言葉?
本書、「図解 建築の話」では建築について様々な知識を提供していますが、ここではその中でも日常生活でもなじみのある「うがつが上がらない」という言葉について、ご紹介しましょう。
「うだつの上がらない人だ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。うだつは漢字で「卯建」と書き、日本家屋に見られる設備です。うだつは防火設備だと解説されることがありますが、当初の目的は違いました。
中世から近世にかけての町家の屋根は、多くが板葺きでした。強い風にあおられると、めくれあがってしまいます。これを防ぐため、茅などを束ねて屋根を押さえたのが、うだつの始まりです。そもそも可燃性ですから、防火機能はほとんどなかったと考えられます。江戸時代に入ると、壁が漆喰塗りになり、屋根は瓦になって、町家の防火性は高まりました。しかし、軒裏部分は火が走りやすいので、袖壁を外に出し、漆喰で固め、延焼を防ぐ「袖うだつ」が登場します。
うだつが防火設備から意匠をこらしたものをにかわったわけ
このころ、うだつが防火設備になったのです。火事が多いのは冬ですから、袖うだつは冬に風が吹く側につければこと足ります。しかしそれではバランスが悪いので、厚みの違うものを両サイドにつけるようになりました。よく観察すると、風下側のうだつは薄く、風上側は火に耐えるよう厚く、つくられていることがわかります。
とはいえ、このようなうだつを設置するのにはそれなりの費用がかかります。そこから「うだつの上がっている家は成功している」というイメージが浸透し、「うだつが上がらない」という表現がうまれたようです。そのためか、現在も残っているうだつの多くは、本来の機能とは別にうだつの壁面には細かい装飾や小屋根に意匠を凝らしたものとなっています。
あなたの好奇心をくすぐる建築のトリビアが満載です
只今紹介した「うだつ」という言葉の由来だけでなく、本書では建築の様々な知識を紹介しています。その数実に60個です!以下の5つのパートに分けて紹介をしているため、気になるパートから読むことが可能です。
「①日本の建築は知らないことだらけ」「②こんな目で見ると近・現代建築も面白い」「③寺社はこだわりの世界」「④城・庭が育んだ日本の美意識」「⑤建築を支えた縁の下の力持ち」の5章にわたって、日常生活において切手は切り離せない「建築」の奥深い世界を図解で分かりやすく解説します。
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【書誌情報】
『図解 建築の話』
著者:スタジオワーク
身近な建物が楽しくなる。ナゾとギモンを一挙解決!屋根の形は、どうやって決まるの? 正面だけが西洋風の看板建築って、どんな構造? うだつが上がらないの、うだつって何? 日本の建築をテーマに、さまざまな建築のナゾを楽しく解き明かします。古民家から、お寺、神社、城、庭、代表的な近・現代建築まで、建築家ならではの視点で、建築物の見方、楽しみ方を図解します。理系の知識がなくても大丈夫。私たちの生活や伝統美など、暮らしの文化に根ざした日本建築のスゴさと面白さがわかります。建築士しか書けない精緻なイラストを満載。60項目で楽しむ建築エンターテインメント本です。
公開日:2022.10.25