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アースロアカンサ(ウミユリ)【古生物の話】

Text:大橋智之

今も深海で生きている植物のような動物

ウミユリ類は、海底でゆらめくさまがまるでユリのように見えるのでこの名で呼ばれています。ヒトデ類やウニ類、ナマコ類と同じ棘皮動物です。

このグループはいずれも炭酸カルシウムの骨格をもっています。体の中心に対し、放射線状に同じ器官が5つ並んでいるのが特徴で、これを五放射相称性と呼びます。

ウミユリ類は古世代に繁栄しました。当時は海の浅瀬にまで広く分布していたようで、「ウミユリの花園」と呼ばれるほどでした。

ウミユリの一種であるアースロアカンサが登場したのは石炭紀の前、デボン紀(約4億1900万年前から約3億5800万年前)でした。とくにアメリカの地層から数多くの化石が見つかっていますが、そのなかには、巻貝の化石が張りついているものもいました。

巻貝が、ウミユリの排泄物や内臓の中身を狙ってウミユリの体に寄生していたのではないかと考える研究者もいます。

また、プラティクリニテスというウミユリの研究では、巻貝がついたものは小柄であったことが指摘されました。ここから、巻貝が排泄物だけでなく、栄養も横取りしていた可能性を考えることができます。

ウミユリ類にはアースロアカンサのように茎を海底に固着させる種と、茎をもたずに浅い海を浮遊する種がいます。

後者の代表的なものはウミシダです。ウミシダは、普段は海底にしがみついているのですが、身に危険が迫ると泳いで逃げていました。前者は現在かなり少なくなっており、深い海にしか生息していません。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。


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