行動経済学はそもそもなんのこと?
「経済学は金融関係や一部のビジネスマンが使うもので、自分とは縁がない話」と思っている人は多いかもしれません。しかし実は、給料は経済を抜きには語れませんし、幸福度や恋愛、子育てに関しても大きな影響を及ぼします。経済は私たちにとって身近な存在といえます。
年功序列型の賃金制度が変化し、格差社会が進み、感染症対策などで今までとは環境が変化しました。現代では人生に大きな影響を与える経済を学ぶことの重要性は日に日に増しているといえます。
経済学で語られる「人」は、合理的に考えて行動し、判断ミスもしないという前提があります。最適な方法があれば迷わず最適な選択肢を選びます。しかし、実際はどうでしょう。たとえば、交通費を使って、遠方の安い商品を買いに行き、せっかく出かけたついでにと無駄なものまで購入してしまうこともあります。
人のこうした不合理な判断、行動のメカニズムを知るのが行動経済学です。不合理の中に一定の法則や傾向を見つけ、日常生活に役立てようとしています。心理学の影響を強く受けた経済の話だと考えるとわかりやすいと思います。ビジネスのヒントになるだけでなく、自分を知ることにもつながる、とても面白い学問です。
お財布の中の行動経済学とは?
近年、人の経済活動における心理が理解されるようになり、意図的に応用するようになりました。すでに社会では浸透しています。
たとえば、お財布の中を見てください。5千円札などの高額紙幣は、「くずしたくない」という感情があるでしょう。5千円札1枚と、千円札4枚+500円硬貨2枚とは同じ価格ですが、行動経済学で考える価値は大きく異なります。
くずしたお金はすぐになくなってしまう感覚をもちやすく、お金をくずしたくない心理があることがわかっています。一方、キャッシュレスになると、この抑制効果が希薄になります。
実際に行動経済学は様々な場所にも!
CMで目にする商品が店においてあるのを見ると、親しみを感じてつい購入してしまうのも行動経済学の身近な例のひとつといえます。繰り返し見るCMには、好きでも嫌いでもない商品を好意的な商品に変えてしまう効果があるのです。
例えばホテルに置くタオルに「環境保護のためにタオルを再利用しましょう」という札を添えると、利用者は無駄に使わなくなります。さらに「これまでにこの部屋に宿泊したほとんどのお客様が最低1回再利用しています」と書いた札はもっと再利用率が上がりました。これも行動経済学を応用しているといえます。
「ゼロからわかる 知らない損する 行動経済学」はこんな方にオススメ!
・行動経済学を学んでみたい!
・ビジネスのヒントを見つけたい!
・なぜCMで目にする商品は買いたくなるのか?
・行動経済学は実際どのような場所で応用されているのか?
そう感じている方にはぜひ本書『知らないと損する 行動経済学』を手に取っていただけたらと思います。
出典:『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』著/ポーポー・ポロダクション
【書誌情報】
『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』
ポーポー・ポロダクション 著
コロナ禍により、さらに注目を集めている行動経済学。消毒液をプッシュするとおもしろい音が出ることで、手指の消毒を促進したり、レジ前に足跡のマークをつけてソーシャルディスタンスを保ったり。行動経済学は難解な経済の話だと思われることもありますが、そんなことはありません。「1980円はなぜか安く感じる」「中古品の買取価格に毎回満足できない」「投票の話を聞くだけで投票率が上がる」など、「つい、○○してしまう」という人の不思議な行動を扱う、身近なテーマです。本書ではお金と心理の話を中心に、そんな行動経済学のおもしろさが伝わる内容となっています。初心者の方はもちろん、行動経済学への理解を深めたいと考える方にもおすすめしたい一冊です。
公開日:2022.09.01