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ブラック企業に勤めている人ほど働き続ける?問題に深く関わる「認知的不協和の解消」とは【ゼロからわかる知らないと損する行動経済学】

Text:ポーポー・ポロダクション

「効果がない」なんて受け入れられない

28ページで紹介した、高いお守りに効果があると感じるのは、他にも理由があります。もし、高いお金を出して買ったものなのに、効果がないと感じたらそれは大きなショックです。高いお守りを買った人は、効果がないと認めづらく、効果がないはずはないと不合理な判断をするようになります。

効果がないところを無視して、小さな効果を探し始めるという、確証バイアスを高めてしまう傾向があるのです。これを「認知的不協和の解消」といいます。心の中に2つの矛盾した認知をもつと、不快な気持ちになってしまいます。そのため、どちらかを解消しようと考えや行動を変化させようとします。

なぜブラック企業に勤め続けるのか

たとえばブラック企業で働き続けてしまう心理は、「認知的不協和の解消」が関係していると思われます。仕事内容が激務で報酬が安い状態だと、人はその不協和を解消しようとします。

激務や報酬は自分の力で変えられないので、「やりがいがあって楽しい」と考えるようになったり、「他と比べたら給料は悪くないかも」と思い込むようになったりします。特に「楽しい」「つらい」は感情的な部分であり、気持ちを動かしやすいので、「楽しい」と思い込むことで、ブラック企業に勤め続けてしまうようになるのです。

「認知的不協和」をもっと深堀り!過去の大きな失敗=認知的不協和?

アメリカの心理学者フェスティンガーが提唱した考え方で、心の中に2つの矛盾した認知があると不快感などが生じ、それを解消しようとどちらかの考えや行動を変化させようとします。最終的には記憶を変えてしまうこともあります。

過去の大きな失敗を「消せない汚点」と考えて認知的不協和をずっと背負い続ける人もいます。でも、これを逆手にとって「今の自分があるのはこの失敗のおかげである」「話のネタが増えておいしい」と考え、ネガティブな記憶をポジティブにすることができます。

「ゼロからわかる 知らない損する 行動経済学」はこんな方にオススメ!

・行動経済学を学んでみたい!
・行動経済学は心理とどう関係するのか?
・ビジネスに行動経済学を取り入れてみたい
・行動経済学を学ぶメリットを知りたい

そう感じている方にはぜひ本書『知らないと損する 行動経済学』を手に取っていただけたらと思います。

出典:『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』著/ポーポー・ポロダクション

【書誌情報】
『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』
ポーポー・ポロダクション 著

コロナ禍により、さらに注目を集めている行動経済学。消毒液をプッシュするとおもしろい音が出ることで、手指の消毒を促進したり、レジ前に足跡のマークをつけてソーシャルディスタンスを保ったり。行動経済学は難解な経済の話だと思われることもありますが、そんなことはありません。「1980円はなぜか安く感じる」「中古品の買取価格に毎回満足できない」「投票の話を聞くだけで投票率が上がる」など、「つい、○○してしまう」という人の不思議な行動を扱う、身近なテーマです。本書ではお金と心理の話を中心に、そんな行動経済学のおもしろさが伝わる内容となっています。初心者の方はもちろん、行動経済学への理解を深めたいと考える方にもおすすめしたい一冊です。