主な金融商品の長所・短所と、投資のツボ
主な金融商品である株式についてみていきましょう。
●株式……株価の上昇・下降は含み損益、売却するときに確定する
債券は企業にお金を貸すことで利息をもらう投資であるのに対し、株式は企業に対して出資をする投資です。株を買って株主になると、その企業の株を保有しているすべての株主と会社の所有権を分け合うことになり、たとえ持っている株数が売買の最低単位である100株であっても、その会社のオーナーになります。債券であれば、満期が来たら発行した企業に元本を返してもらえますが、株式
を持っていても企業からお金を返してもらうことはできません。ただし、その会社の株をほしいという第三者に売ることができます。こうした売買が日々行なわれているのが株式市場です。株式市場では売りたい人と買いたい人のニーズが合致する水準で株価が決まります。その株の人気が買ったときよりも上がっていれば株価が上昇し、売ることで利益を出せます。
投資したときよりも株価が上昇しているときは、「含み益」が出ている状態です。売って利益を確定させてもよく、持ち続けて、さらに上昇をねらうのもOKです。逆に買ったときより株価が下がって損失が出ている状態が「含み損」です。含み益も含み損も、売却するまでは確定しません。また、株を売らなくても、持っているだけで「配当」を受け取ることもできます。企業は毎年決算をして、利益があると株主に配分するからです。長期で持ち続け、毎年配当を受け取りながら株価も上昇するというのが株式投資の理想的なシナリオの一つです。ただ、配当は必ずもらえるものではありません。業績が低迷して利益が出なければ配当を出さない場合もあり、そもそも成長途上のベンチャー企業は利益を今後の成長投資に充てて配当をしないことも多くあります。
逆に、それまで配当を出してきた企業であっても、業績が悪化して利益が出なければ配当を出せなくなることもあります。株価が下がって含み損になったうえに、これまで出してきた配当がなくなるということもあり得ます。株式投資は米国など外国の企業の株式に投資することも可能です。外国株の場合はたとえ株価が変わらなくても為替相場が変動すると日本円で換算した資産価値が変動する為替変動リスクも加わります。個別株でもほったらかし投資は可能ですが、業績や事業環境の悪化といった個別要因で値下がりするリスクも高くなります。逆に米国のアマゾンやアップルなどのように、ほったらかしている間に株価が何千倍にも膨らむ夢もあります。
【出典】『ほったらかしで3000万円貯める! お金と投資の超入門』
監修:坂本綾子/ファイナンシャルプランナー(日本FP 協会認定CFP Ⓡ) 日本文芸社刊
監修者プロフィール
明治大学在学中より、雑誌の編集に携わり、卒業後にフリーランスの雑誌記者として独立。1988 年より女性誌、マネー誌にて、お金の記事を執筆。1999年にファイナンシャルプランナー資格取得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立し、執筆に加えて、家計相談やセミナー講師も行なう。2012 年よりフォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)の活動に参加、消費者教育を担当。近著に『年収200 万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!』(SB クリエイティブ)、『まだ間に合う! 50 歳からのお金の基本』(エムディエヌコーポレーション)、『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)などがある。
書籍情報:『ほったらかしで3000万円貯める!お金と投資の超入門』
監修:坂本綾子/ファイナンシャルプランナー(日本FP 協会認定CFP Ⓡ)
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公開日:2022.05.19