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天下を制する「官渡の戦い」【図解 三国志】

Text:澄田 夢久

曹操と袁紹が新兵器を駆使して激突

劉備は、関羽、張飛と再会を果たす。しかも、公孫瓚滅亡後、浪々していた趙雲と偶然にも再会し、趙雲を傘下とする。これで劉備陣営の部将は、関羽、張飛、趙雲、孫乾、糜竺、糜芳、簡雍憲、周倉、廖化、関
平と厚みを増してきたのである。

さて、それはともかく、官渡での曹操と袁紹の戦いはどうなっていたのか。緒戦に勝利した曹操だったが、彼我の兵力の差は歴然であった。白馬では勝ったといえども迂闊に総力戦を展開できない。

かたや袁紹は気が逸り、田豊の「いまは大軍を動かすべからず。時の利を待つべし」との策を用いず進軍。官渡の手前、陽武で七十万の軍勢を東西南北に展開し、陣を構築した。その報を受けた曹操は、荀彧を許都に残して守備を任せ、官渡に陣を張る。といっても、曹操の兵力は袁紹の十分の一ほどしかない。攻めようにも攻められないのだ。

両軍の睨み合いは続いた。本格的な陣地戦である。先に動いたのは袁紹だった。官渡に迫って陣を敷き、軍師審しん配ぱいの工夫で五十余りの土山を築いてその上に櫓やぐらを組み、射手が弓や弩で櫓から雨あられのごとく矢を射かけた。

曹操は、劉曄の発案で、土山を築いて移動式の投石車を置き、袁紹側から矢が発射されるや投石車から石弾を撃ち込んで対抗した。その威力は確かで、袁紹軍は「霹靂車」と呼んで恐れた。

すると袁紹軍は、またも審配が地下道を曹操軍の陣地下まで掘り進める「地突」を考案する。かたや曹操軍も劉曄が深い塹壕をいくえにも掘り、地突を無力化する、という持久戦が展開されたのである。

戦いの長期化で軍糧輸送が滞り始め、弱気になった曹操は、許都の荀彧に撤兵すべきか否かを諮った。かつて仕えていた袁紹の優柔不断さを熟知していた荀彧は、名士間の情報も照らし合わせて、曹操の勝ちを確信していた。大いに励まされて我慢を重ねることとした曹操に、幸運が飛び込んできた。袁紹に献策をことごとく弁駁され、取り上げられなかった許攸が帰順したのである。

許攸は、「袁紹は烏巣に大きな軍糧貯蔵庫を設置している。守備するのは淳于瓊だ。ここを焼き払えば袁紹軍は戦いの継続ができない」との朗報をもたらした。

曹操は、自ら精鋭を率いて烏巣に進撃し、淳于瓊を破って軍糧を焼き払った。曹操不在の官渡を攻撃した張郃と高覧は、烏巣灰塵の報に接し、降伏。袁紹軍は総崩れし、「官渡の戦い」は曹操に凱歌が上がったのである。

『図解 三国志』はこんな人におすすめ!

・中国の古い歴史に興味がある!
・昔の人は何のために争っていたのか?
・三国時代や格言について学びなおしたい

と感じている方には大変おすすめな本です。

魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面、また「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」「髀肉の嘆」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。また、曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!

シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ

図解シリーズは、右側に文章、左側に図解で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。

図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!

気になる中身を少しだけご紹介!中国では、「革命」によって新たな王朝に禅譲されるのが約束事

『三国志』は「紀伝体」で書かれました。帝の記録「本紀(略して紀)、それ以外の人物の記録「列伝(略して伝)」で構成される歴史書です。陳寿は『三国志』を書くに際してあれこれ惨憺したらしい。魏の曹操(155~220)没後、息子の曹丕(187~226)が皇帝を名乗り、であればと蜀の劉備(161~223)、次いで呉の孫権(182~252)も皇帝を名乗った。

でも、三国に帝(皇帝)がいるというのは古来の中国ではあってはならないこと。天が命じた天子に地上を治めさせるので、天子は一人でなければならなかった。しかし、その天子が徳を失えば、徳のある天子に禅譲することになります。だから陳寿は、後漢の献帝(181~234)から禅譲(実際は簒奪)されたとする魏を正統とすることによって、魏から禅譲(これも簒奪)されたとする西晋を正統とせざるを得ない。

ほんとうは後漢の正統を継いでいるのは、漢王室の末裔とされる劉備が興した蜀と思っていても、陳寿はそうは書けない。故国蜀の滅亡で晋に職を求め、史官として三国の歴史を書くために仕えている身としては、晋朝廷から覚えめでたくあらねばならない、きっとそう悩んだ。

結局、陳寿は「魏書」に「本紀」を置かざるを得ず、「武帝紀(曹操)」「文帝紀(曹丕)」から最後の皇帝「元帝紀(曹奐)」まで著しました。じゃあ、劉備や孫権をどう扱ったか?「蜀書」に「先主伝」を立て、劉備を“先主”と呼ぶ一方、「呉書」の「呉主伝」では孫権は一貫して“権”。「列伝」では当該人物名を生前名の諱で呼ぶのが原則なのに、劉備に関してはその慣例を無視。まさに陳寿は蜀びいきなんですね。

★三国志演義の物語
★赤壁の戦いの真実とは?
★三国志の始まりとは
★知っておきたい軍事制度とは

などなど気になるタイトルが目白押し!

『三国志』には、心打つ名言や現代にも通じる格言が多くあります。曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、など魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、名場面を図解でわかりやすく解説しているので「三国志」の学び直しに是非読んでいただければ幸いです。

【書誌情報】
『図解 眠れなくなるほど面白い 三国志』
渡邉義浩 監/澄田夢久 著

魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面や「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!

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