笑うと増える細胞があるって本当?【生物の話】

~免疫にかかわる細胞~
「笑う門には福来る」と言いますが、笑いは福だけでなく健康も引き連れてきてくれることが、種々の研究から明らかになっています。とくに注目されているのが免疫力との関係です。
1980年代の研究では、笑うことによってリンパ球のひとつNK細胞の活性化がみられると報告されました。その研究内容を受けて、被験者にお笑いライブを見せてNK細胞の数の増加を調べる実験も実施されました。それによれば19人中14人のNK細胞数が増加したそうです。
NK細胞のNKは、ナチュラルキラーの略で、私たちの体に自然に備わっている免疫機能です。訳し方によっては「生まれながらにして殺し屋」と受け取ることもできます。物騒な名前ではありますが、彼らが殺すのはがん細胞やウィルスに感染した細胞。頼りになる警備員なのです。
抗原提示細胞は、体内の見回り役。異物(抗原)を見つけると細胞内に取り込み、ヘルパーT細胞にその情報を伝えます。情報をうけとったヘルパーT細胞が、B細胞に指示を出し、B細胞は抗体を作り出します。最終的に抗体が異物に攻撃をしかけるのです。2度目に異物が入ってきたときには異物として記憶していて、抗体を一気に作ることができ、撃退することが可能です。一度かかると二度目はかからない病気があるのはこのためです。予防接種はこのシステムを利用して、ウィルスの毒性を弱めたもの(ワクチン)をあらかじめ体内に入れ、抗体を作っておくのです。
NK細胞はそうした連携には加わらない、いわばフリーランスの存在です。彼らに気持ちよく仕事をしてもらうためにも、笑いある生活を心がけたいものです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生物の話』
監修:廣澤瑞子 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
横浜生まれ。東京大学農学部農芸化学科卒業。1996年、東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、米イリノイ大学シカゴ校およびドイツマックスプランク生物物理化学研究所の博士研究員を経て、現在は東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学研究室に助教として在籍。著書に『理科のおさらい 生物』(自由国民社)がある。

「人間は何歳まで生きられる?」「iPS細胞で薄毛を救う?」「三毛猫はなぜメスばかり?」「黒い花は世に存在しない?」ーー生命の誕生・進化から、動物、植物、ヒトの生態、最先端の医療・地球環境、未来まで、生物学でひもとく60のナゾとフシギ!知れば知るほど面白い!
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