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3.大河の辺(ほとり)で花開く小河川文化の集合体【世界史】

Text:鈴木 旭

解明進む中国華北・華中の多元的な小文化とそのつながり。

従来の中国史観では「黄河流域から各地へ文化が伝わった」と言われてきたが、1970年代以後、長江流域で河姆渡(かぼと)遺跡(紀元前6,000年~5,000年)の発掘調査が進む中で、この説は修正された。大量の稲籾(もみ)が発見され、高床式住居が発見されたのである。

さらに中国東北部の遼河(りょうが)周辺でも文化の痕跡を残す遺跡の発見が進んでいるため、現在では「黄河・長江文明」と総称し、①遼河流域、②黄河上流・中流・下流、③長江上流・中流・下流に分類し、それぞれの小河川文化が互いに影響し合い、独自の発展を遂げてきたと認識されている。

その上、屋上屋根を重ねる如く、ビッグニュースになったのは二十世紀後半、四川省広漢市で三星堆(さんせいたい)遺跡が発見され、大量の青銅器が出土したこと。予想外の土地で怪異な青銅の面が多数発掘されて話題になった。

四川省は地形的に他の地域から途絶しており、黄河・長江両文明とも区別されるので、異質な文明として受け止められている。歴史的にも中華文明史観では把握されない「化外(けがい)の地」であり、視野の外にあった土地で発見されたため、中国文明には含まれないという見解もある。

いずれにせよ、こうした事実が連続したため、現在の考古学会では「黄河文明」という用語だけでなく、「四大文明(メソポタミア・インダス・エジプト・黄河)」という用語も実情に添わない死語扱いとなっていることを記しておきたい。

同じように、仰韶(ぎょうしょう)文化と竜山文化が黄河文明の中核をなし、中原の地に拡散し、中国文明の中心になったという説明は事実に反するだけでなく、間違っているということも指摘されている。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。