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中世の都市連合が築いた驚くべき強大な商業ネットワークとは?【世界史】

Text:鈴木 旭

地方荘園の時代から都市中心、商業ネットワーク中心の時代へ。

十一世紀から十三世紀、中世を迎えた西ヨーロッパでは大きな社会的変動が始まった。封建領主の支配下にある農村において、鉄製の重量有輪犂すきが使われるようになり、深い森を切り拓き、固い土の大地を開墾することができるようになったため、耕地面積が一挙に拡大。土地の利用法も春作地・秋作地・休閑地と区分し、順番に利用する三圃農法に変わった。

その結果、農業生産力が飛躍的に高まり、余剰生産物が出るようになったため、生産物は商品化されて販売されるようになった。農村に商品経済が定着し、貨幣経済が浸透すると次第に封建的束縛から解放された独立自営農民が出現。中には都市に移り住む者も現れる。

その受け皿になったのがローマ時代の古代都市や植民市であり、エルベ川東部では手工業者組合や商人団を中心として建設された新しい都市であった。しかも、十三世紀には、封建領主や国王から自治権を獲得して自由都市となり、都市自体、自立した力を示すようになる。北ドイツのリューベックやハンブルグ、ブレーメンなどの諸都市によるハンザ同盟は、その代表的事例であろう。

初めは文字通りのハンザ=仲間組織であったが、次第にロンドン(イギリス)、ブリュッヘ(ベルギー)、ノブゴロド(ロシア)、ベルゲン(ノルウェイ)等に外地ハンザを結成。本国のハンザと繋がる国際貿易を展開する。全盛期には七十都市の他、百三十都市も参加してた。しかし、オランダやイギリスの国家的な重商主義政策を採用する絶対主義国家の出現によって衰退し、十七世紀には自然消滅してしまう。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。