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ドイツの東方植民が生み出したプロイセンとはどういう国家だったのか?【世界史】

Text:鈴木 旭

ドイツ騎士団の伝統を継承するユンカー(地主貴族)の国

一六四八年、ウェストファリア条約で神聖ローマ帝国の三十年戦争が終結した。長い間、北部ヨーロッパを中心に君臨してきた神聖ローマ帝国は事実上、解体。スイスとオランダが国家として独立することが国際的に承認された。こうした中で一躍、注目を浴びたのがプロイセン国であった。元々、十字軍の全盛時代、聖地エルサレムから帰還したドイツ騎士団が東方植民に従軍し、開発した領地であるが、一五二五年、ホーエンツォレルン家から君主を招き、プロイセン公国となったのであった。

その後、変遷を経て、一七〇一年、スペイン継承戦争の勃発に伴い、元来、カトリック陣営に属するプロイセン公国は、衰えたりとは言え、存続している神聖ローマ皇帝の陣営に属して参戦。フリードリヒ一世の王号が承認されたため、国号はプロイセン王国となる。

フリードリヒ一世を支えたのは伝統的な地主貴族ユンカーである。彼らがプロイセン王国の将校団として結束し、王権の柱となった。ぜいたくな宮廷生活を排し、質実剛健を旨むねとする気風はプロイセン王国の独特な文化を規定付けている。また、プロイセン王国は、長い間、カトリックとプロテスタントの間で繰り返された三十年戦争で荒廃したドイツを見てきたためか、特定の宗教にこだわらず、当時の世界史上、めずらしい非宗教国家として歩み続けたことが大国として発展する道を切り開いたのかもしれない。

ドイツはこのプロイセン王国の確かな伝統と気質を民族の遺伝子として引き継いで近代国家ドイツ連邦を作り上げていくのである。ヨーロッパの歴史から見れば、稀有な国家であった。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

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