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侵略で問題になっているロシアという国はどのように生まれたのか?【世界史】

Text:鈴木 旭

西欧化による上からの改革を進めた「玉座の上の革命家」

ロシアという名前は一五世紀末の文献に初めて登場する。もはや旧モンゴル帝国支配の影響は完全に払拭され、モスクワ大公国イヴァン三世が、初めて「ツァーリ(皇帝)」という称号を使い始めている。そこから歴史は始まっている。ところで、そのロシアの歴史は一六一三年に開設されたロマノフ王朝の第三代ツァーリのピョートル大帝から始まったと言っても間違いではない。ピョートルは遅れたロシアを上からの西欧化、富国強兵によって改革を進めたため、「玉座の上の革命家」と呼ばれたのであった。

元々、身長が二メートル近い大男で、力が有り余っている青年時代、彼は異母姉ソフィヤのクーデタで追放され、野に下っている間、操船術や軍隊遊びに終始していた。遊びと言っても本物の武器と大砲を装備し、本物の将校の下で一兵卒として訓練したと伝えられている。

また、皇帝になった後、一六九七年、西欧の先進的な軍事技術を学ぶ使節団を派遣した際、ピョートルは匿名で参加。アムステルダムの東インド会社の造船所で自らハンマーを振り上げて実習したと言われている。何事も率そっ先せ ん垂す い範は んの指導者として先頭に立つ皇帝だった。

その結果、北はバルトから南はアゾフ海、黒海への出口を求めて、相手国のスウェーデンやオスマン=トルコと戦った。スウェーデンと戦うときはデンマークやポーランドと提携。国内では徴兵制を実施して国民戦争として戦い、勝利の暁には国家的行事として新都ペテルブルグを建設。国威の発揚を図ったのである。ピョートルはまた、農奴制強化など近代化に逆行する絶対王的改革も手掛けている。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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