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露店もお神輿もない「祭り」こそ成就に繋がる理由とは!?

Text:渋谷申博

実は、それらがない祭りのほうが多い

落語の演目「ぞろぞろ」は、前項の神話とは正反対の話です。とある稲荷神社*の前に1軒の茶店がありました。かつては参詣者が多かった稲荷神社なのですが、最近はすっかりさびれてしまい、茶店にも客が来なくってしまいました。それでも老夫婦は稲荷様への感謝と信心を忘れず、毎朝境内の掃除をし、お灯明をあげ、お供え物を供えていました。そんなある日、大雨が降って道がぬかるんでしまったため、道行く人が次々とその茶店で草わらじ鞋を買っていきました。売り切れたと思ったら、ぞろぞろと新しい草鞋が出現して、売っても売っても売り切れることがないのです。稲荷の神が老夫婦の奉仕を喜んで、霊験を現したのでした。

このことが評判となり、稲荷神社は以前に増して参拝者が増え、茶店も繁盛した、という話です。この老夫婦が日々行なったことも祭りです。祭りというとお神輿や山車が賑やかに町を練り歩くところや、楽しい露店のことが思い浮かびますが、それらは祭りの余興というべきものです(神輿や山車の意味は次項参照)。大切なことは、真心を込めて神様に仕えて、神様を喜ばせることなのです。その上で祭りの意図を伝え、その成就を願うのです。実は神社でも毎日毎日祭りが行なわれているのです(神主が常駐しない神社は除く)。神前を整えてお供え物を供え、礼拝をしています。こうした日々の祭りに加えて豊作を願うなどの特別な祭りが数度あり、神輿の渡御が行なわれたり、神楽が奉納されたりするのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷申博

「神道には教義がないって、本当なの?」「八百万の神々の中で一番偉いのは、誰?」「鳥はいないのに、なぜ鳥居というの?」 神道の起源から日本の神様、開運神社のご利益まで楽しくわかる! 古代から伝えられてきた日本の心──神道。その奥深い世界を57項目の素朴な疑問からズバリ解説しす。