まだ反抗的部族が日本各地にいたから
神武天皇は、ニニギ・ヒコホホデミ・ウガヤフキアエズの三代(日向三代という)が住んだ筑紫の日向(今の宮崎県あたり)から大和まで進軍して、初代天皇として即位しました。その途上、友好的な部族は大和朝廷の一員として迎え入れ、反抗的な部族は武力制圧をしました。しかし、反抗する者がいなくなったというわけではなく、歴代天皇はしばしば平定軍を地方に派遣しています。第10代崇神天皇は四道将軍と呼ばれる4人の皇族を四方に送り、反抗勢力の一掃を図っています。
第12代景行天皇の御代になってもこうした状況は続いており、天皇は自ら遠征を行なうとともに、皇子のヤマトタケル(倭建命)にも地方の平定を命じたのでした。ヤマトタケルが最初に討伐に向かったのは、南九州を拠点としていた熊襲でした。ヤマトタケルは女装して熊襲の宴に忍び込み、族長の兄弟・クマソタケルを殺害しました。ヤマトタケルという名は、この時に弟のクマソタケルから奉られたもので、本名はオウス(小碓命)といいます。
いったん都に戻ったヤマトタケルは、今度は東国への遠征を命じられます。その途上で伊勢神宮に立ち寄り、叔母のヤマトヒメ(倭比売命)より草薙剣を授かっています。草薙剣の霊験や妃のオトタチバナヒメ(弟橘比売命)の自己犠牲もあって、ヤマトタケルは遠征を成し遂げ、尾張に戻ったところで国造の娘、ミヤズヒメ(美夜受比売)と結ばれました。しかし、伊吹山の神を退治に向かった後、病を得て死去したと伝えられます。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』監/渋谷申博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷 申博
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公開日:2023.01.17