古代のことが謎だらけで、よくわかっていない
神道が古代から続く日本人の信仰であることは、誰もが認めることでしょう。しかし、古代といってもいろんな時代があります。日本人の信仰なのだから、日本人が日本列島に住むようになったとき、というご意見もあるかと思います。現在の考古学の成果によると、旧石器時代後期には、日本列島に人が住んでいたことがわかっていますので、この説に従えば、神道の起源も旧石器時代後期以前ということになります。
残念ながら旧石器時代後期の遺物は少なく、当時の人々がどんな精神生活を送っていたのか、詳しいことはわかっていません。しかし、海外の事例なども考え合わせると、死への恐れや死者への追悼に基づく信仰はあったものと思われます。では、それが神道の起源なのでしょうか。
もしそうだとすると、旧石器時代後期に続く縄文時代の信仰も神道の祖先ということになります。土偶や土面、石棒、過剰なまでの装飾が施された土器などが縄文時代の信仰の特徴ですが、これらはわれわれが知る神道とはだいぶ違うように思われます。問題は縄文時代と弥生時代の間に起こった文化的断絶をどう考えるかです。
弥生時代の信仰には穀物の神霊に対する信仰や、鏡・剣を祭祀具とすることなど、神道との共通点が多くみられます。縄文人の信仰は弥生人にも引き継がれて神道に流れ込んでいるのか、縄文文化を駆逐した弥生文化とともに神道が成立したのか。かつては後者の説が有力でしたが、近年は前者の説も注目されてきています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』監/渋谷申博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷 申博
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公開日:2023.01.02