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「法家思想」のもとに国を統一【始皇帝の話】

Text:渡邉義浩

中央に力を集めるために下地となった法家思想

実は、秦は始皇帝登場前から、強大な軍事力を持つ大きな国でした。中国統一の礎(いしずえ)を築いたとされるのが、商鞅(しょうおう)という人物です。

この時代、秦が滅ぼした6国では、氏族制度のもとで、各地域の諸侯たちが権力を高めていました。そして、地方の権力者たちによる分権制によって、王の権力が小さくなり、国をまとめることが困難でした。

一方、秦は中国西部の辺境地に誕生した新興国だったため、ほかの国々に比べて氏族制度がそこまで深くは根付いていませんでした。

そこに登場したのが商鞅です。当時の秦王の孝公(こうこう)の命を受けて、「商鞅の変法」という大改革を実行。これは、法家(ほうか)の「公正」と「信賞必罰(しんしょうひつばつ)」をもとに考えられたもの。

法を基準とした平等なルールを次々に実行しました。始皇帝の改革は、これらの下地ができていたために受け入れられやすかったのです。

商鞅が秦に法家を導入したのと同時期に、楚(そ)では呉起(ごき) という人物が、同じように法家の導入を試みました。

しかし、楚は秦よりも氏族制度が強く根付いていたため、地方の権力者たちの反発にあい、呉起は楚の悼王(とうおう)の死後に襲われ、楚での法家の普及も止まりました。

呉起:魏(ぎ)の文侯(ぶんこう)に仕えた後、 楚の悼王(とうおう)の宰相となり、楚国の強兵に努めた武将・兵法家。『呉子』は『孫子』と並び、有名である。法治主義にもとづく改革を図ったが失敗した。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 始皇帝の話』
著者:渡邉義浩  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1962 年東京生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。文学博士。現在、早稲田大学理事・文学学術院教授。大隈記念早稲田佐賀学園理事長。三国志学会事務局長。専門は古代中国思想史。主な著書・監修本に『眠れなくなるほど面白い 図解 三国志』(日本文芸社)、『始皇帝 中華統一の思想―「キングダム」で解く中国大陸の謎』(集英社新書)、『教養として学んでおきたい三国志』(マイナビ新書)などがある。


紀元前246年、13歳で即位し、史上初めて中国を統一して500年の争乱の歴史に終止符を打った秦の始皇帝。歴史に残るその戦いと数々の偉大な功績、また謎に満ちた生涯、始皇帝を支えた多くの忠臣を、最新研究をもとに図解、イラストを交えてわかりやすく解説する。人気マンガ『キングダム』でも脚光を浴びた「始皇帝」の人物像と中華統一や数々の偉業の謎と軌跡に迫る。

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