チームの仲間や部下のやる気を引き出すためにできることとは？【孫氏の兵法】

離脱という選択肢を奪えば部下はおのずと精強となる

敵国の領内に深く侵攻すれば、自軍の兵は自然と結束して、そう簡単には負けはしない。この場合、指揮官は味方にも攻撃目標がわからないよう細工して、複雑な進軍路を選ぶ。地理不案内なところに連れて来られた兵たちは、脱走しても生還できる可能性がないに等しく、敗北が死を意味すると理解すればあきらめもつく。生還するには指揮官の指図に従うしかないと肌で感じるようになったらしめたもの。不利な状況に置かれれば置かれるほど、潜在的な力をも覚かく醒せいさせ、想像もできないような勇猛さを発揮する。

全員に持てる力を充分に発揮させるには、そうせざるをえない状況に追い込むのも一つの手である。進むべき道が一つと気づかせられれば、後はもう簡単である。いちいち指図をせずとも、万事順調に運ぶ。

軍隊内で占いを禁止すれば、神頼みの気持ちも消え、脱走兵もいなくなる。奮戦する以外に生き残る道はないと覚悟を決めるからである。

いざ決戦の命令が発せられると、座り込んでいた兵たちは涙の雫しずくで襟えりを濡らし、横たわっていた者たちは頬ほおを伝わった涙をあごの先に結ぶ。彼ら決死の覚悟を固めた兵を、逃げ場のない戦場に投入すれば、全員が鬼神のごとき戦いぶりを見せるであろう。

出典：『眠れなくなるほど面白い図解孫氏の兵法』監修：島崎晋

『孫氏の兵法』はこんな人におすすめ！

・孫氏の兵法を勉強してみたい
・ビジネスで役に立つ考え方を知りたい
・勝負ごとに勝つための思考を身に着けたい

以上の方には「図解　孫氏の兵法」は大変おすすめな本です。

「孫子の兵法」を集めた『孫子』が編纂されたのは今から2500年以上も前です。それが今なお読み継がれている理由はずばり、
現代社会の様々な場面で応用が利くからです！

孫氏の兵法が出された時代は戦争の真っただ中でした。ですので、孫氏の兵法は「いかに勝負ごとに勝つのか」という点に集中しております。翻って現代社会に目を向けると様々な勝負ごとがあります。身近な例でいえば、受験戦争や職場での出世競争、スポーツ競技、自然災害の克服など、現代人は多くの勝負事を避けて通ることができません。

本書では、多くの人が知っておくべき「孫氏の兵法」について、徹底的に解説します。現代の社会にも十分に通用し、今なお多くの人が参考にしている孫氏が編み出した考え方を一緒に学び、厳しい現代社会に生きる上での活路を見出しましょう。

何事にも二面性があることを忘れてはいけない！

様々な教えがある「孫氏の兵法」ですが、ここでは「利に雑うれば、故ち務め信なる可し」という教えについて解説します。

物事には例外なく、「利益と害悪の両面」があります。利益だけに目を奪われていては、いつか必ず大きな失敗をするし、逆に害悪ばかりを気にしていると、何一つ事が進捗しませんしかし、知恵ある人間は、常に「利益と害悪の両面」を考慮に入れながら行動をするので、さしたる困難に直面することなく、物事を計画どおりに進めることができるのです。

過信せずに用心し続けることの大切さ

またこの部分で孫氏は、「過信は慎重さを失わせる」とも説明しています。人間は、どんなに教養や経験を積もうとも、それに比例して思慮深くなるとは限りません。むしろ過信に走る者のほうが多く、そこにつけ入る隙が生じてしまいます。ゆえに本当に見識のある人間は、聞き心地のよい言葉を並べ立てられたときは警戒心を募らせ、相手の術策にはまらぬよう用心します。