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インドネシアのジャングルで咲く、世界一大きい花とは?【植物の話】

Text:稲垣栄洋

直径ではラフレシア、高さではショクダイオオコンニャク

世界一大きな花といえば、インドネシアのジャングルで咲くラフレシアが有名です。他の植物に寄生して花が咲き、直径1mにもなります。

ほかに、高さ3mにもなる大きな花があります。

インドネシアのスマトラ島の熱帯雨林に、最短で2年に一度(数年に一度)、2か月ほどかかって2日ほどしか咲かない、サトイモ科の花、ショクダイオオコンニャク(燭台大蒟蒻)です。

燭台とはロウソク立てのことで、蒟蒻はサトイモの球状の地下茎「塊茎(かいけい)」から作る食品のことです。名前が表すように、大きなロウソク立てのような花を咲かせます。まるでタケノコが地下茎から地面を突き破って出てくるように、花は塊茎から直接地上に向かって地面を突き破りながら、花びらを大きく開いていきます。その咲き方と姿かたちはとてもワイルドです。

花といっても、正確には葉の変形した仏炎苞(ぶつえんほう)とよばれる花びらの中心から、上に向かって立ったロウソクのような部分の下に、たくさんのおばなとめばなが隠れています。

ここからが見せ場です。ロウソクの部分が37℃くらいまで発熱します。すると中から肉の腐ったような強烈な臭いがロウソクの先端から流れてきます。この臭いはジャングルの遠くまで広い範囲にわたって漂っていくのです。

これは甲虫などの昆虫(送粉昆虫)を呼ぶためです。なにしろ2日の猶予しかないので、さっさと受粉し、種子を作らないと子孫を残せません。

日本では、サトイモ自体の花を見る機会はあまりありませんが、サトイモ科の花には、有名なアンスリウムやスパティフィラムなどがあり、美しい花や葉を鑑賞するために栽培されています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
植物学者・静岡大学教授。1993年、岡山大学大学院農学研究科(当時)修了。農学博士。専攻は雑草生態学。1993年農林水産省入省。1995年静岡県入庁、農林技術研究所などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。研究分野は農業生態学、雑草科学。


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