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植物はなぜ春夏秋冬を知っている?植物が春夏秋冬を知る方法とは?【植物の話】

Text:稲垣栄洋

おもに日の長さの変化をとらえて季節を知る

日が短くなれば冬が近づいていると感じ、長くなればもうすぐ夏だとわかるのは、ヒトも植物も同じです。日の長さ「日長(にっちょう)」は、植物にとって最も信頼できる季節の変化を知る手がかりです。

気温は夏でも寒かったりと日変動が激しく、あまりあてになりません。その点日長は、1日の昼の時間(明期)の長さと夜の時間(暗期)の長さが規則的で周期的なリズムで緩やかに変わっていきます。

日長を光周期(こうしゅうき)ともいいます。光周期は、多くの植物に成長したり花を咲かせたりするタイミングを知らせる重要な決め手となっています。この光周期にもとづく反応は、「光周性」とよばれ、植物だけでなく動物も示します。

こうして光は光合成のエネルギー源としての役割のほか、情報源ともなり、情報は光受容体(フィトクロムやクリプトクラム)から生物時計に伝わって日長が測られます。

では植物にとって、明期と暗期の長さのうち、どちらがより確かな情報でしょうか。意外なことに、明期の長さよりも中断されない暗期の長さのほうが重要です。これは暗期の途中で赤い光を当てて暗期を中断する実験などからわかりました。

たとえば春がくればサクラが咲き、夏にはアサガオ、秋にはコスモス、冬にはサザンカと、花が咲く季節が決まっているのは、植物の生物時計(体内時計とも)と光周性の合わせ技です。

植物には日長が短くなると開花する短日植物と、日長が長くなると開花する長日植物、日長に関係なく開花する中性植物があります。中性植物には1年を通して咲く花と、春と秋に咲く花があります。

植物の花の咲き方は、大きくこの3種類に分けられます。

日長の変化に対して植物が示す反応/光が中断されるとどうなる?

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
植物学者・静岡大学教授。1993年、岡山大学大学院農学研究科(当時)修了。農学博士。専攻は雑草生態学。1993年農林水産省入省。1995年静岡県入庁、農林技術研究所などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。研究分野は農業生態学、雑草科学。


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「花の女王はバラ、では雑草の女王は?」
「なぜ夏の木陰はヒンヤリするのか?」
「昆虫と植物は必ずギブ&テイクの関係なのか?」
「植物は数学を知っている?」
「じつは、植物によって光合成のしかたが違う?」
など身近な疑問から、花粉を運ばせるための昆虫だましテクニック、一歩踏み込んだ光合成のしくみまでわかりやすく紹介します。

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