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キリスト教の教義の根本はどこにある?【世界の宗教】

Text:星川啓慈

「三位一体」の考えかたが根本的な教義の一つ

前項でお話ししたとおり、キリスト教の信仰の中心にあるのは、イエスによって全人類の贖罪(しょくざい)がなされたという信仰です。キリスト教の神は、愛とあわれみを持って人々を導き、祝福をもたらす恩寵(おんちょう)の神なのです。

キリスト教では神を「父よ」と呼びかけます。この神は、唯一絶対の神であると同時に、「*救世主(きゅうせいしゅ=メシア)としての神の子イエス」「聖霊としての神」という三つの異なる姿を持っていると考えられています。

これをキリスト教では「三位一体(さんみいったい)」と呼び、根源的な教義の一つとされているのです。では、どうして唯一の神が三つの異なる顔を持つのでしょうか。キリスト教では、創始者であるイエスを神が遣わした存在であるととらえると同時に、イエスは神そのものであるとも受け止められているからです。

これを説明するために生み出されたのが、「三位一体」の思想です。いいかえれば、神がイエスという人間となって現れ、イエスが神のもとに帰ったのちに、イエスのかわりとして聖なる霊=聖霊を遣わしたというわけです。これは、イエスが死後3日目に復活したという奇跡につながっていきます。

この「三位一体」はキリスト教固有のもので、『新約聖書』ではじめて表された考えかたです。しかし、三位一体思想を巡ってはさまざまな教学論争がこれまで延々と繰り返されてきました。そうした意味で、キリスト教の教義は「永遠に完結しない」といえるかもしれません。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。


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