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十字軍の遠征の目的って、本当は何なの?【世界の宗教】

Text:星川啓慈

名目は聖地奪還だが利権獲得の目論見も

11世紀の地中海地域には、神聖ローマ帝国(ローマ・カトリック教会)と東ローマ帝国(東方教会)がありました。東ローマ帝国の東側ではイスラム教が勢力を伸ばし、北アフリカやイベリア半島にまで教圏を拡大してキリスト教圏に迫っていました。

こうして、*イスラム王朝のセルジューク朝によってパレスチナが占領されます。これに対して、東西の両ローマ帝国が協力して、聖地エルサレムの奪還を旗印にし、さらに政治的、経済的利権も得る目的に組織されたのが十字軍(じゅうじぐん)です。フランス人を中心に組織された第1回の十字軍は1096年に出発し、1099年にエルサレムを占拠。エルサレム王国が創設され、しだいに支配地域を拡大していきました。

ところが、十字軍は結果的に、当時分裂していたイスラム勢力に結束をもたらすことになりました。十字軍は合計7回派遣されますが、最終的にはイスラム勢力の反撃によって西アジアを追われることになりました。

聖地奪還に失敗した十字軍は、本来の目的を達することはできなかったのです。

十字軍を支えた宗教的理念は、エルサレムがイエスの受難(じゅなん)の地であり、そのゆかりの地である聖墳墓(せいふんぼ=イエス・キリストの墓)への巡礼を最高の目的にしたことにありました。それを異教徒から奪還しようというのが十字軍の目的だったわけですが、聖地エルサレムをめぐるキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の葛藤は、下図にあるように現代まで引き継がれています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。


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