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日本に伝来したのち、仏教はどう発展した?【世界の宗教】

Text:星川啓慈

聖徳太子以降、 国家の保護下で大きく発展

我が国への仏教伝来については、538年説と552年説があります。

公的に日本に仏教を伝えたのは、朝鮮半島にあった百済(くだら)の聖明王(せいめいおう)であるといわれています。聖明王は、当時の欽明天皇(きんめいてんのう)(509〜571年)に仏像や経典、仏教論書などを贈りました。

仏教の受け入れに関しては、豪族の蘇我氏(そがし)と物部氏(もののべし)の争いが展開されていきます。

「海外諸国で崇拝されているのに、わが国だけとり入れないことなどできない」

という蘇我氏の形勢が徐々に優位となり、推古天皇(すいこてんのう)(554~628年)の時代になって、いよいよ本格的な仏教の受容(じゅよう)・浸透期(しんとうき)を迎えることになります。その中心的な役割を担ったのが、*聖徳太子(しょうとくたいし)(574〜622年)です。

太子は、まず「三宝興隆の詔(さんぼうこうりゅうのみことのり)」を発して、平和な国家を建設するために仏教を広めることを宣言します。そして、604年に制定した「十七条憲法(じゅうしちじょうけんぽう)」には、「篤(あつ)く三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧なり……」とあり、仏教へ深く傾倒していたことがわかります。

また、遣隋使(けんずいし)として学僧を中国へ派遣して仏教思想や仏教文化を導入したほか、寺院も次々と建立します。四天王寺(してんのうじ)、法隆寺(ほうりゅうじ)、中宮寺(ちゅうぐうじ)、広隆寺(こうりゅうじ)などの建立に太子が関係したといわれています。

以降、奈良時代にかけて仏教の国教化とも呼べるほどの、国家による庇護が進んでいきます。聖武天皇(しょうむてんのう)(701~756年)による東大寺大仏(とうだいじだいぶつ)の造立(ぞうりゅう)、国分寺(こくぶんじ)・国分尼寺(こくぶんにじ)の設置など、国家事業としての仏教関連政策が相次いでいったのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。


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