地震は一度起きれば終わりではなく、何度も繰り返す
地震が起きるためには二つの条件が必要です。その場所が硬い固体であることと、力が働いていることです。二つのプレートが接触している場所や沈み込み帯では、地震が最も多く発生しています。太平洋プレートがユーラシアプレートなどの下に沈み込んでいるアラスカ→カムチャッカ→千島→房総半島沖にかけては、特にマグニチュード8以上の巨大な地震が発生する場所として有名です。
また、フィリピン海プレートが西南日本の下に沈み込んでいる南海トラフも巨大地震の発生場所です。中米から南米にかけての太平洋側の沈み込み帯も同様です。プレートは、年に数センチの速度で動きつつ沈み込んでいるので、繰り返し地震が起きることになります。
歴史的な資料が豊富に残る西南日本で、この様子をみてみましょう。おおよそ100年から150年という間隔で、マグニチュード8クラスの地震が起きています。このため、南海トラフに沿う地域が将来の地震発生地域として注目されているのです。
地震は起きてしまえば力が解放されて終わり、というわけではなく、繰り返すものだと肝に銘じておかなければなりません。西南日本には多くの歴史資料が残されているため、このような振る舞いが明らかにされましたが、ほかの地域では残念ながらよくわかっていないところが多いのが現状です。ですが、1995年の阪神・淡路大震災(M7・3)、2011年の東日本大震災(M9・0)、2016年の熊本地震(M7・3)は、その被害のすさまじさがリアルタイムで伝わり、日本中を震撼させました。
そして、2019年2月26日、政府地震調査委員会が、これまでの将来起こる地震発生の確率見直しを公表したのです。その骨子は、青森県東北沖から房総沖の日本海溝で大地震の起きる確率を高く予測したものでした。図2にその予想図を示しました。
ともあれ、このように研究者たちは、地層に残された津波の痕跡などを手がかりに、過去と現在と将来をつなぐ研究を進めているのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地学の話』
【書誌情報】
『図解 地学の話』
著者:高橋正樹 他
地学は「地球を対象とする自然科学」の学問。ジャンルが幅広く興味深い話題も多い。地球の誕生から、火山や地震のメカニズム、異常気象や天気図、地層・化石まで、「地球物地学」「火山学」「気象学」「地質学」の4テーマに分けて解説。図解で楽しくわかりやすく勉強になる1冊。
公開日:2022.02.14