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日本の象徴である富士山はどのようにして形成されたのか?【地学の話】

三つのプレートがせめぎ合うところに立つ富士山

10万年前に生まれた富士山は、日本一の高さ(3776m)を誇る日本列島で最大の若い活火山です。これまでに700㎦を超える大量のマグマを噴出してきました。しかも、日本列島の火山の大部分が安山岩からなるのに対して、富士山はまったく異なる玄武岩からできているのです。考えれば考えるほど、富士山はユニークで不思議な火山です。どうして富士山はこのように大量の玄武岩マグマを短期間に噴出できたのでしょうか?また、どうして富士山のような巨大な火山がそこにあるのでしょうか?

富士山のそびえている場所をみてみましょう。富士山の南には駿河湾がありますが、駿河湾には富士山に向かってのびる深い海底谷があって、駿河トラフ(トラフとは底の平たい溝のこと)と呼ばれています。駿河トラフは富士川河口付近に上陸しますが、そこには富士川河口断層という活断層が発達しています。この断層の延長は富士山の下を通って、箱根山と丹沢山地の間の酒匂川の谷付近にある神縄断層に続きます。

神縄断層は、酒匂川が足柄平野に入ると、足柄平野の東の大礒丘陵の山麓の活断層である国府津・松田断層に続きます。この断層は国府津付近で相模湾に入りますが、その先には深い海底谷である相模トラフが南東に向かってのびています。

この駿河トラフ、神縄断層、国府津・松田断層、相模トラフで囲まれた領域は、箱根山や伊豆半島を含むフィリピン海プレートにほぼ相当しています。それだけではなく、駿河トラフからは、フィリピン海プレートが西に向かってユーラシアプレートの下へ沈み込んでいます。さらにまた、国府津・松田断層と相模トラフからは、フィリピン海プレートが北東に向かって北アメリカプレートの下へ沈み込んでおり、東京や関東地方の下まで到達しています。そして、神縄断層付近では、フィリンピン海プレートは北アメリカプレートと衝突しています。

富士山の下にはフィリピン海プレートが西方に沈み込んでいるのですが、フィリピン海プレートの北端はユーラシアプレートと衝突して癒着し、鋲びょうで止めたように固定されています。そのため、フィリピン海プレートの西方への沈み込みによる引っ張りの歪みは、どこかで解消される必要があるわけです。

そのしくみは、富士山の下へは深部からマグマが上昇してきているのですが、高温で弱くなっているため、そこが裂けて割れ目ができることでこの歪みを解消しているものと思われます。つまり、富士山の下のフィリピン海プレートには裂け目があり、しかも、その裂け目はフィリピン海プレートが西方に沈み込むたびに拡大を続けるというわけです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地学の話』

【書誌情報】
『図解 地学の話』
著者:高橋正樹 他

地学は「地球を対象とする自然科学」の学問。ジャンルが幅広く興味深い話題も多い。地球の誕生から、火山や地震のメカニズム、異常気象や天気図、地層・化石まで、「地球物地学」「火山学」「気象学」「地質学」の4テーマに分けて解説。図解で楽しくわかりやすく勉強になる1冊。

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