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火山から読み取るハワイという島の壮大な地球の営みとは?【地学の話】

ホットスポットの火山とはどんなものか?

プレートテクトニクスは、地球内部の熱を宇宙空間に逃がす熱対流の一種です。同じく地球を冷やす熱対流のメカニズムとして、マントルプルームがあります。高温のマントルプルームは、地球中心核とマントルの境界付近から、1億年ほどの時間をかけながらゆっくりと地表付近に上昇してきます。こうした高温のマントルプルームが上昇して来た場所のことを、ホットスポット(熱い点)といいます。

現在の地球上にはたくさんのホットスポットがありますが、その中でも有名なのがハワイ島とアメリカ合衆国西部のイエローストーンです。ホットスポットは大部分が海洋地域にある中で、イエローストーンは大陸上に位置する珍しいホットスポットです。

イエローストーン火山は厚さの厚い大陸地殻の上にあるので、マントルから上昇してきた玄武岩質マグマが、大陸地殻を融かして大量の流紋岩質マグマが生産され、それが大規模に噴火することで、大型のカルデラが形成されています。一方、ハワイ島は厚さの薄い海洋地殻の上にあるので、マントルでできた玄武岩質マグマが直接大量に噴出しています。

地球の表層部にはプレートが敷き詰められており、それは対流によって絶えず動いています。ところが、マントルプルームは中心核とマントルの境界部付近の深部から上昇してくるので、いわば深部に固定されているわけです。プレートは、マントルプルームの上を移動していきます。現在マントルプルームの直上にあって、さかんにマグマを噴出しているのはハワイ島です。ハワイ諸島は、北西に向かってハワイ島、100万年前のマウイ島、200万年前のモロカイ島、300万年前のオアフ島、500万年前のカウアイ島の順に配列しています。これは、ハワイのマントルプルームの上を太平洋プレートが北西方向に移動していった軌跡です。

このように、プレートの動く原動力は、沈み込んだプレートが引っ張る引きの力なのです。この様子はテーブルクロスを少しだけ垂らしてやると、あとは自動的にずり落ちていくのと似ているため、テーブルクロスずり落ち説ともいわれています。最後の境界は、プレート同士がすれ違う横ずれプレート境界です。

イエローストーン火山でも、現在のマントルプルームはイエローストーン火山の直下にありますが、南西方向に向かって少なくとも6個以上の巨大カルデラが配列しています。イエローストーンカルデラから最も離れた、最も年代の古いカルデラは1500万年前のものです。これは、イエローストーンのマントルプルームの上を、北アメリカプレートが南西方向に移動していった軌跡です。こうしたホットスポット火山をみていると、地球の営みというものが、実に規模が大きく、時間のスケールも雄大で、きわめてダイナミックなものであるということを実感せずにはいられません。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地学の話』

【書誌情報】
『図解 地学の話』
著者:高橋正樹 他

地学は「地球を対象とする自然科学」の学問。ジャンルが幅広く興味深い話題も多い。地球の誕生から、火山や地震のメカニズム、異常気象や天気図、地層・化石まで、「地球物地学」「火山学」「気象学」「地質学」の4テーマに分けて解説。図解で楽しくわかりやすく勉強になる1冊。

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