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月に巨大望遠鏡をつくるってホント?【宇宙の話】

Text:渡部潤一

いくつかの条件をクリアすれば月面天文台は実現可能

月は人類にとって実利的な面だけでなく、科学的にも計り知れない価値があります。

月の環境それ自体が、天文学をはじめとしたさまざまな科学研究にとって、非常に有益な場を提供してくれるからです。

たとえば天文学の場合、次のような利点を挙げることができます。

月には磁場がないため電離層などがありません。また、地球からの人工の電磁波は月そのものがさえぎってくれますから、地球に面していない月の裏側は電磁波的には非常に静かで、電波望遠鏡を建造するには理想的な場所となります。

そして何より、月には大気がないので、星からの光が途中で吸収されたり、散乱したりしないで月面に届きます。ここに光学望遠鏡を設置すれば、その性能を最大限まで引き出せるはずです。

重力は地球の6分の1ですし、風雨から望遠鏡を守る必要もないので、簡単な構造で巨大な望遠鏡を建造でき、ランニングコストも安く済むと考えられます。

さらに、月の自転周期の関係で、夜がおよそ14日間連続するので、継続した観測が可能です。

そのうえ、地盤が安定しているので、クレーターにパネルを敷きつめれば、直径数十キロメートルという巨大パラボラアンテナだってつくることが可能となります。

ただし、その前提として、月面に基地ができて、機器の運搬や天文台のオペレーションが支障なくできることが必要になってきます。

こうした条件がクリアできて「月面天文台」が実現すれば、宇宙に関する知見がさらに深まっていくことでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、福島県生まれ。 1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台副台長・教授。総合研究大学院大学教授。太陽系天体の 研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝えるなど幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など。


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