水素による核融合で生まれた
地球がある太陽系は、太陽という恒星を中心にできています。
地球から太陽までの平均距離は約1億4960万キロメートルで、光の速さで約8分20秒かかります。
半径は地球のおよそ109倍。質量は地球の33万倍で、これは太陽系の全質量の99.86パーセントを占め、太陽系のすべての天体に重力の影響を与えています。
こんなに大きな太陽ですが、天の川銀河では標準的な恒星の1つにすぎません。
では、太陽はどのようにして生まれたのでしょうか?
現在の宇宙論によれば、宇宙は「インフレーション」と「ビッグバン」をきっかけにして、138億年前に誕生したと考えられています。
ビッグバンによって物質のもととなる素粒子が生成されたのですが、初期の宇宙に存在した元素は、ほとんどが水素だったとみられています。
その水素が集まり「分子雲」と呼ばれる星雲を形成します。分子雲は「育星場」「星のゆりかご」などと呼ばれ、このなかで星は育っていきます。
太陽も分子雲から誕生しました。
分子雲のなかで、密度の高い「分子雲コア」がいくつも生まれて、自分の重力でどんどん収縮して「原始星」になります。原始星は周囲のガスやちりを吸収しながらさらに収縮します。
やがて中心部の密度が高まり、核融合が起こるようになります。さらに中心の温度が1000万度以上もの高温になって、明るく輝き出し、いまの太陽として成長していったと考えられるのです。これが46億年前のことです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1960年、福島県生まれ。 1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台副台長・教授。総合研究大学院大学教授。太陽系天体の 研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝えるなど幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など。
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公開日:2022.03.18