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なぜ金星は地球と「双子の惑星」といわれているの?【宇宙の話】

Text:渡部潤一

姿かたちが似ているから。でも中身は全然違った

金星は、地球とほぼ同じ直径と密度の惑星です。

このことから、金星は地球と「双子の惑星」といわれてきました。ところが、惑星表面の状況はまったく異なっています。

地球の表面は液体の水が存在できるような穏やかな環境ですが、金星は表面温度が500度近くにも達する灼熱(しゃくねつ)の惑星なのです。

2つの惑星の命運を分けたのが、太陽からの距離です。

太陽から金星までの距離は約0.72auです。つまり、地球より4200万キロメートルほど太陽に近いということ。この距離が2つの惑星の環境に大きく作用しているのです。

微惑星の衝突・合体で誕生した金星と地球は、初期のころはどちらも惑星全体がドロドロに溶けたマグマオーシャンの状態でした。

どちらの惑星も、このとき水は水蒸気として大気中に存在していました。

しかし、太陽からの距離が近い金星では、あまりの高温のために水蒸気が液体の水になれなかったと考えられるのです。

現在の金星の大気圧は95気圧と、地球の大気の総重量のおよそ100倍もの気体に包まれています。

そしてその96パーセントが温室効果が高い二酸化炭素で、残りも窒素や水蒸気です。

つまり、金星は強い温室効果ガスに覆われている状態なのです。また、金星の特徴の1つに自転が地球と逆方向だということが挙げられます。

自転が逆向きなのは、厚い大気との相互作用が原因と考えられていますが、まだ明確な答えは出ていません。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、福島県生まれ。 1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台副台長・教授。総合研究大学院大学教授。太陽系天体の 研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝えるなど幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など。


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