海藻を食べ泳ぎ回るナマケモノ「タラッソクヌス」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話】

タラッソクヌス
海藻を食べ自由に泳ぎ回るナマケモノ
最初の哺乳類が誕生したのは、地球上の陸地がほぼすべて陸続きのパンゲア大陸だった時代でした。
大陸が多く分かれた新生代になると、それぞれの大陸で独自に進化した多種多様な生物が誕生するようになります。
その代表的なもののひとつが、南アメリカ大陸で独自に進化した有胎盤類(真獣類)のグループである異節類です。ナマケモノ、アリクイ、アルマジロといった現在でもこの地域固有として知られる動物たちがここに含まれます。
現在知られているナマケモノは大半が樹上で生活していますが、新生代に登場したナマケモノ類の絶滅種の多くが地上で暮らしていたことがわかっています。
巨大なナマケモノの仲間、メガテリウムがその一例です。四肢には巨大な鉤爪があり、体長6メートル、体重6トンにも達しました。長い尻尾をもっており二足歩行の可能性も指摘されていて、現生のナマケモノの姿からは想像もできない生物といえます。
その一方で、水中に進出したナマケモノもいました。タラッソクヌスです。
新生代新第三紀中新世に登場した、この水生のナマケモノは沿岸部に住み、水中の植物(海藻や海草)を食べていたと考えられています。メガテリウムと同じように長い尾があり、泳ぐのに有効でした。これは、絶滅したオオナマケモノ類に共通した特徴と考えられています。
タラッソクヌスが絶滅したのは、いまでいうパナマ地峡が誕生し、変化にともなって、この地域の海洋環境が変わったためとする説もあります。
水中住まいのナマケモノ タラッソクヌス
タラッソクヌス
新生代 新第三紀中新世
哺乳類 異節類 有毛類
ナマケモノ類
約2メートル
非常に重い骨(肋骨や手脚)で海底に沈むことが楽
泳ぐときにバランスをとった尾
海底に生えた植物を掘る長い爪
水をかくのに適した後脚や水中での姿勢維持に役立つ力強い尾など、水中生活に適した体をしていた。
最大級のナマケモノ メガテリウム
全長最大約6メートル、2本の後ろ足と尾を使って立ち上がり、高い木をひきよせ葉を食べていた。長い爪は現代のナマケモノと共通している。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
代表監修:大橋 智之
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