認知症の人は病識が無く認知症である自覚を持てない…病人扱いされていると感じる世界とは?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

13:周りの人に、身に覚えのない病気で病人扱いをされていると感じる世界

○エピソード

最近義母は物忘れがひどくなり、物の紛失は毎日で、食べたご飯を「食べていない」ということもしばしば。親戚からも通院を促され、提案しましたが、「バカにして!私はまだボケていない」と激昂されました。

【あるある行動】本人が認知症を認めず、通院に応じない

認知症の初期は、老化による生理的な現象なのか、認知症による症状なのか、周囲の人にも見分けがつきづらいことが多いでしょう。

認知症の特徴として、認知症の自覚、つまり「病識」がないことが挙げられます。自分に最近起こっている出来事について、あまり問題意識がなく、自覚が全くない場合には、「なぜ病院に行かなきゃならないの?家族が何か企んでいる?」などという発想になるかもしれません。

とはいえ、本人は「最近何かおかしい」「何となく変だ」と何となく矛盾や不安を感じていることも多いのです。「それなら素直に病院に行けばいいのに……」と思うのですが、周囲の家族との関係性や、本人が本来もっているプライドや性格によっては、自分を守ることを優先し、「認めたくない」という気持ちになって、受信を拒否することもあります。

しかし、今までの様子と大きく異なる言動が現れたり、「いいえ!行きません!」という強い拒否反応があったり、特に同居の家族以外の人から見て、「やはりおかしい」と感じたりするなら、早めに受診・治療を検討しましょう。

思考や行動が総合的にまとまらない情報のパズルが完成しない世界/もしあなたがこの世界にいたら?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

○もしあなたがこの世界にいたら?

あなたが「最近何かおかしい……理由はわからないが、思い通りにいかないな……」と感じているときに、人から「きみ、何か変だよ。精神科の病院に行けば?」と言われたら、恐怖と屈辱感から「何で!?」と思わないでしょうか?

【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。

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