切り返しで負荷がかかってきても右ヒジは90度以上つぶれない
【部位】右ヒジ 【機能】インパクトで押す
トップで右ヒジは90度が目安となる
右ヒジについても、感覚としては左ヒジと同じでいいと思います。つまり、クラブの動きによって曲げられてトップに至り、ダウンスイングでは伸ばされていく。自分で意図して曲げる角度を決めたり、伸ばしきろうとしなくてもいいのです。例えば、P4での角度。右ヒジの曲がり具合は、90度とするのが理想とされますが、そうではない人もたくさんいます。オンプレーンスイングをしようとすれば、確かに90度にとどめるほうが、ダウンスイングの再現性は高くなるとは思います。
なおかつ、右ヒジが真下を指しているほうがプレーンにヘッドを乗せやすいと思います。右ヒジが背中側の地面を指すようだと、シャフトクロス(トップでシャフトが飛球線を横切って、ヘッドがターゲットの右を指す状態)になり、ヘッドをプレーンに戻すのに苦労します。しかし、シャフトクロスのトップから安定したフェードを打つ人もたくさんいますから、一概に矯正すべきとも言えません。逆に、90度より広い角度でトップをつくっている人も少なくありません。トップでのヘッドの位置が浅くなりますが、そのほうが下ろしやすいと感じる人もいるのです。
要は切り返しのタイミングを取りやすく、ダウンスイングが下ろしやすくなる自分なりのトップの形を探せばいいのです。参考のため、PGAプロの平均データを見てみましょう。P4で96度と、「目安」の90度よりやや広い状態にとどめられています。そしてP5で99度となります。下半身でダウンスイングをスタートすると、上半身や腕に負荷がかかるため、右手首は角度が深まりました。同じように右ヒジにも負荷がかかるはずですが、P4からP5で微妙ではありますが角度が広がっているということは、この負荷に対抗する力が出されているわけです。そうすることによって、クラブが上がってきた軌道と同じところをなぞるように戻せると思います。
●上がってきた空間をなぞってクラブを下ろす
トップでグリップエンドを、目標と反対方向に押し込むように力をかけると、クラブが上がってきた空間をなぞるように戻して下ろせる。と同時に、切り返し前後での右ヒジの使い方がよくなりやすい。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2024.01.13