「体の正面でインパクト」はあくまでイメージに過ぎない
【部位】腰椎と胸椎 【機能】腰と肩の捻転差を戻す
体幹の逆回転はありえない
よく「体の正面でインパクトする」と言われますが、その意味は、腰と肩、あるいは肩だけでもスクエアな向きにしてインパクトする、ということではないのです。「体(肩)が開くとフェースが開く」という説明が以前はありましたが、「体(肩)が開く」と「フェースが開く」は、関係がありません。フェースが開いたインパクトは肩の向きではなく、体の傾き方(背骨が右に倒れればフェースは開き、左に倒れれば閉じる)や手首の使い方で起きています。
PGAツアープロの平均データを確認すると、体の開き具合、とくに腰の向きについてはかなり個人差が見られます。目標を向くくらい左に回っている人もいれば、わずかに左を向く程度の人もいます。そして、腰が正面を向いたタイミングでインパクトしている人もいるのです。インパクトのタイミングに体が正面を向く状態をつくるために「ダウンスイングで上半身と下半身を逆回転させる」という指導ワードもあります。下半身を逆回しするくらいのつもりで回転を止めようという意図でしょうが、体の回転を止めた途端に、反動で腕が走るはずです。その勢いで「強くボールを捕まえた」感覚を得られるかもしれません。しかし実際には「飛ばしたい方向に力を出す」ほうが自然であり、力を大きくできます。何より再現性を高めるのは、自然な動きに近いほうのはずです。
●捻転差はインパクトでも40度弱も残っている
P4で54度に達した腰と肩の捻転差は、P5でさらに深まり、P6で40度、P7でも15度弱まで減ってくるが、インパクトでも腰は肩に対して、それだけ先行している。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2024.02.09